ニードノウア : 一宮剛さん(電動車いすテニスプレーヤー)

一宮さんは脳性麻痺をお持ちで、25歳ぐらいから強い腰痛のためのため電動車いすでの生活になりましたが、
27歳の時に車いすテニスに出会い、
『日本初の電動車いすテニスプレーヤー』になりました。
54歳の時にインフルエンザをきっかけに頸髄症と頚椎症になり、日常生活でも介助が必要な状態ですが、
そのような中でも車いすテニスは続けられています。
今回のメイカソンは
①車いすを動かす際に少ない力でも動かせるジョイスティックの形
②雨天時で傘を使用する際、安定して傘を持てる持ち手
というニードで参加しています。

課題・要求 (Bad / Good ストーリー)

今回の一宮さんからの要望は、
「ジョイスティックを持ちやすくしてコントロールしやすくしたい」と
「傘を差した状態を保つことが難しいため、傘の持ち手の部分を工夫して持ちやすくしたい」です。

Bad ストーリー(ジョイスティック)

・テニスのプレー中ラケットを振る際、
    ジョイスティックから左手が外れてしまう
・今までのジョイスティックが小さい、滑る

Good ストーリー(ジョイスティック)

・ラケットを振った後、左手がジョイスティックから外れないので
    車椅子の操作が素早くできる。
(一宮さんの経験より :スポンジの球体スティックやテニスボール大がフィーリングとしてはとても良い)

Bad ストーリー(傘の持ち手)

・一般の傘の持ち手は下先端に取り付けられているので、適度な角度に保つには力がいる。
・しかし一宮さんは握力が低下しているため、長時間傘をさすことが難しい。

Good ストーリー(傘の持ち手)

・持つ力の負担を軽減すれば、筋肉の痛みや張りが軽減され体が楽になり、雨の日も濡れることが少なくなる

アイデアスケッチ

アイディアスケッチを出し、議論する中で
①ジョイスティック:いかに手元が離れずに握りやすくできるか。
 (テニスプレー中のパフォーマンスを落とさずに)
②傘の持ち手:いかに持ちやすい傘になるか。

各種の課題が整理された。

・かぶせ型ジョイスティック

賀下さん作
既存のジョイスティックの上からかぶせる形
大きいので、操作移動量が少ないかもしれない

・つまむジョイスティック

新谷さん作
指が離れないように、凹凸型の指の差込口がある。

・2点式傘ホルダー

木村さん作
支える部分が手首だけでなく腕全体であり、安定するかもしれない。
しかし傘が閉じない。

・バンド型傘の持ち手

賀下さん作
持ち手の部分にマジックテープのついたバンドを付ける。

・アーム型持ち手

湯浅さん作
スマホのアームスタンドのように、車いすの一部に取り付けて傘を好きな位置に設置できる。

・支持台付きの傘サポート

新谷さん作
傘を延長器具で下に伸ばし、膝近くの車いすの部分を支点として設置すれば手にかかる力の負担が減る。

プロトタイピング

全体方針:「作って」・「試す」!
①ジョイスティック
②傘の持ち手

①-A・キノコ型ジョイスティック

賀下さん 作
[コンセプトと作った感想]
・一宮さんは手が大きいことから、キノコ型を試作。(六角形と八角形)

・スティックタイプのコントローラーは、八角形の方がいいのかもしれない。
・少し角があるのは大丈夫か心配。 柄を長くすれば横つかみもできそう

[一宮さんの実際に使用した感想]
・上面が平らなのがとても気に入った。
・もう少し大きければよいかも。

[素材]
TPU

①-B・PCマウス型ジョイスティック

湯浅さん作
[コンセプトと作った感想]
・班内ミーティングの際、「球体が使いやすい」「上からつかんでいるが、上斜めがもしかしたらよいかもしれない」と言ってたので、PCマウスに似ているなぁと思って作った。
・右手用に作ってしまったため、現在左手用製作中(2/6現在)

[一宮さんの実際に使用した感想]
(未使用)

[素材]
PLA


② 傘 持ち手試作

新谷さん作
[コンセプトと作った感想]
・市販品のものを、より持ちやすい形状へ改善すること。
・傘がすべって下へずり落ちることを
 防げるような構造へ改善すること。
・手袋でも使用できる構造へ改善すること。

[一宮さんの実際に使用した感想](未使用)
・若干頑丈すぎたような気がするので、
 一宮さんに使ってもらった意見から再度調整したい。
・柄の部分を工夫して、
 柄を保持できる台なども追加してみたい。

ー2/6 班内ミーティングー

2/4:サポーターの木村さんが一宮さんのお宅訪問ー
 ・車いすの詳細な情報を調査。
 ・それらをもとに今後の製作の方向性を話し合いました。

〇ジョイスティック
 ・差し込みではグラついて取れてしまうという問題がありそう。
 ➡ジョイスティック本体を挟むような形で作っていく方針。

〇傘の持ち手
 デザインは新谷さんのデザインで進めていくことになった。
 これからブラッシュアップしていき本番製作に取り組んでいく。

(ジョイスティック固定部の素案:木村さん)

今後:
安定してジョイスティックに直接取り付けられるような
固定方法を模索しつつモデリングを行う。

解消された世界


④傘の持ち手

・一宮さんの傘に適合した柄の形状に設計変更した。
・柄の太さをφ35としテニスラケットと同等とした。
・柄の形状をC型として手を包み込み、握力の低下による柄からの手の滑りを防止するようにした。
・通常のビニール傘のように、使用しない場合は手すりなどへ引っかけておけるようにした。

Next Action


④ 傘の持ち手

・手すりの上で、風の向きに対応して傘の傾きを操作できるようにできればより使いやすくなると思われる。
・休憩時に、傘を立てかけられるような支持台を車椅子へ装着しておくとより使いやすくなると思われる。