卵のスキャンから
はじめは卵のモデリングから、スキャナーを使わずにスマートフォンのドキュメント撮影のアプリを使って、正面図を撮影。CADソフトで画像を読み込んで実寸に合わせてモデリングを始めます。
ファーストモデル
卵本体に地面に落ちた時の衝撃が伝わらない構造を考えた時に、ふと思いついたカタチをモデリングしてみる。このパッケージのデザインするにあたって、衝撃吸収を課題として取り組むことが決まった。
3D造形後に
3Dプリントしてみてみるとサポート材が思った以上に出力されて、取り除くことが不可に。もちろん当初予想していた緩衝材となる出っ張りがうまく機能しなかった。この時に一度に一体造形は使用しているプリンターでは難しいと判断した。次は柔軟な構造を考えるように考えていった。
(※ABSフィラメントを使用)
セカンドモデル、ゆりかご
どうすれば落下時の衝撃を卵本体に与えないようにできるかを考え始め、カゴのような構造を考えた。(※ABSフィラメントを使用)
カゴのカバーを出力
カゴ構造を守るためのカバーを出力した。フィラメントを節約するためにデザイン性を少し取り入れた。が、これが最悪の結果を招く。カバーの剛性が低すぎたのと、中のカゴ構造に落下の衝撃がダイレクトに伝わる結果となった。
カゴ構造の分析
卵を取り出してみて割れている箇所を調査した結果、全ての方向から力が加わっていることがわかった。卵もパッケージとともに落下することから、卵自身の固定方法を改める必要があると考えて、ラストモデルへと繋がる。
関係はないが
カゴ構造のカバーを2つ出力し、大破していない方はランプシェードに。
ラストモデル、カゴ構造にこだわる
これまでのモデルの失敗から、落下時に卵が下向きに加速して破損していること。周りのカバー自体も、落ちた衝撃で上向きに加速して力が加わっていたことが分かっていた。そこから、卵自身を自由に動けるような逆カゴ構造を考え始めた。
カゴ構造の円弧を逆転させる
円弧(アークバネ)を反対向きにするということは卵を締め付けるということである。しかしあえてそれをすることで、落下直後のパッケージ内の卵が減速しながら下に落ちていくという予想を立ててデザインした。
アークバネの本数
長めのアークバネが卵のガイドとして機能すればいいと考えて、当初は4本だけであった。しかし、実験を繰り返していくと短めのアークバネがあまりにも伸びが悪く、卵を締め付けていることがわかる。12本予定していた短いアークバネは2本まで減らし、長い方のを4本から8本に増やした。
落とし穴
卵がパッケージ内を減速しながら最下層に落ちていくのがこの「マッスグ」の特徴である。しかし、卵がこのリングを超えて地面に到達して割れることが連続した。最後の卵を受け止める砦こそ一番難しい問題が隠れていた。卵受けのバネが差込口から抜けて卵が飛び出ることが連続した。抜け防止用の爪を作るために3Dプリントの方法を考え直した。0.2mm積層なのはこれまで通りだが、それをソリッドで出力するのからサーフェース出力に変えた。すると、差込口からその先で抜け防止の爪ができる。この爪構造はアークバネの差込にも採用することになった。
パッケージング
内部に入れる機構を隠すという意味で、筒状のパッケージにした。何があるわけでもなく、ただの筒。
完成
緑色のリングのパーツにアークバネを差し込んで完成。色で別れているので、これまでのパッケージよりも扱いやすい。
これまでの出力で使用した素材はABSフィラメントのみ。
外側の筒は0.3積層
それ以外は全て0.2積層ではあるが、バネ構造の部品のみサーフェース出力をしている。
落下テスト
エンジニアではない私が目標にしたのは1m。最終モデルでそれを達成できた。
それより高いところから落とすと斜めに傾いて落ちて、ガイドになってるアークバネから脱線するようなカタチでリングに衝突して割れた。次のステップはガイドになるバネ構造の改善と、外側の筒状のパッケージのデザインである。