スマホ関係でつくることに決めた
幸せになれるスマホホルダー
通勤中、バスや電車で毎日スマホを触っているので、
スマホを保持することに楽しみ・喜びが感じられるようなものが作れればいいなと思っています。
実際手がしんどい
幸せというよりも、電車やバスの中で顔の近くにスマホを持ち上げたままの状態は、手がしんどい。
手をフリーにしたままスマホを顔の近くに置いておければ、とっても幸せになれると思います。
理想的なものがすでに商品化されている
数年前から、ハーモニカホルダー的なものを改造すれば作れるのでは?と考えていたけど、
2年前に商品化されてしまった。これを見つけたときはかなり悔しかった。
上海問屋のロングアーム スマホホルダー
100円でもできる
去年見つけた記事。100円の針金ハンガーでもホルダーができてる。
ロケットニュースの記事
見た目も大事
どちらのホルダーも機能は満たしているけど、
見た目にもっと優しさが欲しいので、
ぬくもりが感じられるホルダーをつくることにします。
人の温かみを感じるスマホホルダーをつくる
腕をホルダーの部品として使う
当初、
DAZ3D
のモデルから腕データを持ってきて使おうとしていたけど、
ライセンスによると3Dプリントしてもいいけど商用はNGとのこと。
コンテスト応募は商用ではないと思うけど、
スッキリしてなかったのと、師匠のおすすめもあって、
MakeHuman
で腕モデルを準備することにした。
MakeHumanでそれっぽい人間データをつくる
今回必要なのは腕だけなので体型は適当。
MakeHumanだけではポーズを編集できないので、
mhx2
のエクスポートプラグインを追加して、Boneをいれた人体データをmhx2形式でエクスポート。
人体データをもとにポーズを付ける
mhx2データを
Blender
で読み込んでポーズ編集する
Blenderにmhx2読み込みプラグインを追加
MakeHumanで作ったデータがBone付きで読み込めた。
ポーズを付ける
腕を曲げてそれっぽいポーズをつける。
指を細かく曲げるのが面倒だった。
腕だけ切り取り
MakeHumanでエクスポートするときにfabble投稿を意識して服を着せていたため、
Tシャツから出ている部分までしかデータがなかった。
スマホホルダーをつける部分を作成
腕は、利用者の首に抱きつく感じで、腕の付け根側にスマホホルダーを取り付けるための台を作った。
台の部分をブラッシュアップ
平面の板だとちょっと顔に近すぎる気がしたのと、
勉強中の
Fusion360
を使いたいので、
BlenderからFusion360に移動。
曲線で優しさを演出
スマホホルダー台を、平面の板から丸みのある半円の台に変更。
完成予想図
こんな感じでスマホホルダーを乗せる予定。
台の厚みを調整
台の厚みを腕の太さと同じぐらいにしてたけど、
ちょっと厚すぎて印刷が大変な気がしてきたので厚みをへらした。
MeshMixerで最終調整と分割
最後に
MeshMixer
に移動して、
角ばったところを丸く調整。
(
小代さん
、色々ご指導いただきありがとうございました)
そして印刷へ
今回の作品は、人間の腕の大きさを再現するところがポイントだと思っている。
ただ、うちのプリンタQidiTech X-Oneの最大印刷サイズは縦横高さ15cmなので、分割して印刷しないといけない。
8個のピボットを縦横高さ15cmの立方体型に配置して、8個まとめて移動、複製しながら、効率よく分割できる場所を探していった。
ここに決めた
かなり大きいので印刷時間が大変なことになるはず。
あとで説明するとおり、カット面を開いたまま印刷できるように、
できるだけ同じ角度でカット、カット、カット。
16分割
家で印刷可能な時間が1時間単位なので、
16分割でも大きすぎて、このあとさらに細分化しました。
最終的には30分割ぐらい?
分割印刷は余計に時間がかかるのでは・・・
今回の作品はプリンタの最大印刷サイズを超えてしまうので、分割して印刷しないといけない。
分割していて気づいたことだけど、実は分割数が一つ増えると面が二つ増える。(あたりまえ)
今回の作品の場合
とくに今回は腕やスマホ台の部分が一方向に長いため、
ダルマ落としや大根の輪切りのような形でスパスパ切るので、
接着すると見えなくなる面をたくさん印刷することになってしまう。
師匠に相談
切断した面(印刷後接着する面)を開口のままにできれば、
分割しても印刷時間が延びないはず!と考えて、
GooDay Fab Daimyoの3Dプリンタ部の集まりで、
3Dプリンタの師匠である小代さんに相談したところ、
スライサーの設定で、上面と底部のソリッドレイヤーの厚さを0にすればいいと教えてもらった。
うまくいった
上部と底面のソリッドレイヤーを0に設定して、
切断面がプリントベッドと平行になるようにオブジェクトを配置すると、
狙ったとおり切断面が開口状態でスライスできた。
角度を変えて実験したところ、切断面がベッドと平行じゃないときは、
外壁として認識されるので開口にならない。
逆に、オブジェクトに切断面以外の平面がある場合、
その平面がベッドと平行になっていると、そこが開口になってしまった。
スライサーによって違いがあるかもしれないけれど、
今回のコンテスト用に思い切って買った
Simplify3D
では、
開口状態での印刷が実現できることがわかった。
印刷開始
コンテスト締め切りまでにどこまで印刷できるか。
片側印刷終われば一応ホルダーとして使える・・・はず。
指
予定通り、上面と底部レイヤーなしで印刷。平面を減らすと印刷時間をかなり短縮できる。
右腕の一部
上面と底部なし。スカスカ。
はたして、うまく接着できるのか。
6時間でここまで
平日の印刷時間はがんばって3時間ぐらい。
週末どれぐらい進められるか。
ちょっと大きすぎたかもしれない
ちょっと小柄な感じをイメージしていたのに、
自分の手よりも大きくなってしまった。
ピンチ! - 印刷が間に合わないかも
現在の印刷状況。
左半分の印刷予想時間合計18時間。
そのうち10パーツ、10時間57分が印刷済みで、残り7時間分。
右半分はまったく印刷してないので残り18時間。
左右合わせて残り25時間。
これはちょっと何か対策を考えないとまずい。
思ったよりゴツかったので
印刷時間短縮のためスマホホルダーを置く部分をスリム化。
一部分だけ印刷してみたところ思ったよりゴツかったので、
これぐらいスリムでも十分いけると判断した。
ひょろひょろになった
スマホホルダーを置くところがスッキリ スリムになって、
印刷時間が5時間分ぐらい短縮できた。
今回のコンテストをきっかけに師匠から色々と教わって、
MeshMixerの使い方を覚えることができたのは大収穫。
置台部分をすっぱり切り取って、
プリミティブに付け替えてもよかったけど、
せっかくなのでスカルプトの練習がてら、
コネコネして変形してみた。
かなり手捏ね感がある。
印刷したらどんな感じになるかな。
印刷三昧
左半分の印刷が終わって、右半分の印刷開始。
手首の傷を隠してるみたいなテープは、
仮止め用の
マスキングテープ
。
印刷のパラメータなど
フィラメント:
Qidi Tech X-One
を買ったときについてきた
オレンジ色のPLA
。
スライサー:コンテスト用に買ったSimplify3Dを使っている。
印刷速度:Simpilfy3DでX-OneのFastモードを選択。
積層ピッチ:Fastモードでは0.3mm。
基本速度:3000mm/分(500mm/秒)
レイヤー:上面と底部のソリッドレイヤーを0に設定した。
インフィル:5%
サポート:あり。角度はなんとなく38度。このあたりはもっとチューニング必要。
ラフト:なし。ラフトをつけるとかなり時間が延びるのでベッドに直印刷。
温度:フィラメントは200度(1層目210度)、ベッドは40度。
ついに完成!
印刷時間合計30時間。
後ろから見た様子
最初の狙い通り首に抱きつかれている風。温かみを感じる。
首を絞められているのではない。
斜めから
手ぶらで気軽にスワイプ。
正面
YouTubeが手ぶらで見られる!
雨降りでも
片手で傘をさしつつ、もう片方の手でポケモンGo!
人差し指でしっかりモンスターボールを投げられるのがGood!
一つ目の"笑"ゲットだぜ!
この写真の左端、見えるでしょうか。
福岡空港からきた電車に乗っていた外国の方が、
この素敵なスマホホルダーを見て、ニッコリ。
こちらもカメラマンがニッコリをお返ししたら、
スマホを取り出して記念撮影?されてました。
改善
通勤中に使うことを想定して、地下鉄の駅で写真撮影しながら使ってみたけど、
いくつか具合の悪いところがあったので、帰宅後、早速改善。
つなぎ目
左右分割式にしたほうが持ち運びやすいかと思って、
左右を透明テープで貼り付ける方式で使ってみたけど、
素材(PLA)とテープの相性が悪く、
しっかり貼り付かなくて
撮影中に何度も外れて大変だった。
つなげた状態でも
IKEAのでかい袋
で
持ち運べそうだったので一体型にすることに。
スマホ台部分を細くした代償か、
指先部分がたわんで開き気味になるのでこちらも接着。
プリント中に大量に排出されたサポート部分を
絆創膏風に貼り付けてアクリルサンデーでくっつけました。
スマホホルダーはヒンジにつけた
撮影時は角度調整がやりやすいかと思って、
スマホホルダー部分も透明テープで貼り付けていたけど、
こちらも、しっかり固定できずにガクーとなりがちだったので、
ヒンジ方式にトライ。
こちら
のヒンジを使わせてもらいました。
振り返り
コンテストの存在を知ったのが、
GoodayFabDaimyoの大名3Dプリンター部に初めて参加した8月23日。
そこでコンテスト参加する気持ちになってから、
悩みに悩んで、応募のネタが決まったのが9月末くらい。
応募ネタが決まったのでプリンター買い替え
2年前にAliexpressで買ったデルタ型がかなり不調で、
修理しながら使っていたけど思い切って新しいのを導入!
大量のプリントも調子よくこなしてくれました。
(一度だけノズル詰まりしたけど。)
印刷時間確保が大変だった
今まで書いてきたとおり、
印刷時間が短くなるようにがんばって工夫したけど
それでもやはりプリント時間が長い・・・
朝起きて、会社に行くまでの1時間と帰宅してから2時間ぐらい。
最後の土曜日は一日中、印刷しつづけました。
ひさしぶりに
Recolo
を使ってみたけど、
3Dプリンタは被写体に向いてるかも。
いい経験でした
大名3Dプリンター部の皆さんには大変お世話になりました。
これだけ大きなものを印刷したのは初めてで、
いい感じのデータをつくったり、分割したりする方法を教わり、
大変助かりました。
学びの場を準備してくれている
顧問やマネージャーにも感謝しています。
いよいよ応募する
FAB3DCONTESTの審査員に
普段よく読んでるデイリーポータルZの林さんがいるのを知って
ちょっと気持ちが盛り上がってしまい、
Fabbleのプロフィール写真を先月買った
顔がでかくなる箱
の写真に変えた。
この駄々長いFabbleページを読んでもらえるのか心配しつつ、今から応募します。