Fabrixスクリプトの概要
「3Dペン」のようなフィラメント制御による多彩な3次元的表現を、デジタルなベクターデータから制御するためのソフトです。
Fabrixスクリプトは、ベクターデータを直接3Dプリンタの制御言語であるG-CODEに変換して書き出すスクリプトで、Adobe Illustratorバージョン (2Dグラフィックエディタ)と、Rhinoバージョン (3Dモデリング環境)の2つがあります。
ダウンロードは
https://github.com/hiroyeah/fabrix
より。
Adobe Illustratorバージョンのインストールのしかた
イラストレータの「プラグイン」は、[ファイル]メニューの「スクリプト」から実行することができます。ここから2つの方法があります。
まず、「その他のスクリプト」ボタンを選択すれば、ファイルダイアログが立ち上がり、自分のPCから実行したいスクリプトを選択できます。イラストレーターのプラグインは、.jsxです。
それ以外に、頻繁に使うスクリプトは、Adobe Illustratorのプログラムフォルダのなかのどこかにある「Script」フォルダ内に入れておけば、自動的にメニュー欄に表示されます。
(1) fabrix_import
Fabrix_Importは既存のG-CODEを読み込むためのものです。
以下の目的で使います。
1. 既存のスライサ等で生成したG-CODEから、3Dプリントしても、穴や溝が生まれてしまい、失敗が続くようなとき。細部を手作業で細やかに修正したり、パスを変更したりできます。
2. Fabrixで別途つくっておいた「編み込み」や「内部構造」のパターンを、既存の立体の輪郭の中にスーパーインポーズする場合。その場合、輪郭のみ1層のスライスデータをあらかじめつくっておき、このスクリプトでIllustrator上に読み込みます。
http://fabble.cc/hiroyeah/fabrixximport
(2) fabrix_export
Fabrix_Exportはイラストレータからアンカーパスで構成された線をG-CODEとして出力するためのものです。
以下の目的で使います。
1. 読み込んだG-CODEの細部を修正したうえ、再度書き出すことができます。
2. 新たなG-CODEパターンを白紙の上に描き、またSuperimposeなども利用しながら作成した新たなパターンを直接G-CODEとして出力します。その際、速度(F値)や、樹脂押し出し量(E値)など、繊細なコントロールができます。
http://fabble.cc/hiroyeah/fabrixxexport
(3) z-layername
イラストレーター上でレイヤ名に一定ピッチのZ値を自動的に設定するための便利補助ツールです。
http://fabble.cc/hiroyeah/zxlayername
(4) superimpose
「外形(輪郭)」を表す線分パターンに、「内部構造」を表す線分パターンを「合成」するためのスクリプトです。
「内部構造パターン」を外形を輪郭として切り取り、クリップします。
その際、高さに応じて内部構造パターンを切り替えることもできます。
http://fabble.cc/hiroyeah/superimpose
(5) e-assign (Additional)
線分の「長さ」に応じて、線分の「太さ」(最終的にはE値に換算される)を自動的に変更するためのオプションです。処理がきわめてデリケートなため、頻繁に使うことはありません。
Rhinoバージョンのインストール
こちらに詳細をまとめてあります。
Rhino版G-CODE読み込み
http://fabble.cc/hiroyeah/fabrixximportxrhino
Rhino版G-CODE書き出し
http://fabble.cc/hiroyeah/fabrixxexportxrhino
IllustratorバージョンとRhinoバージョンの特徴
Adobe Illustratorバージョンは、「レイヤー」を、3次元の「高さ方向(z)」として解釈してG-CODEを書き出すため、平面のパターンを積み重ねた繊細で複雑な編み構造や、かみ合い構造をつくることができます。
また、Rhinoバージョンは、空中に描いたPolylineをG-CODEに直接書き出すため、積層だけではなく空中描画や、既存のモノにアタッチメントするデータをつくることに貢献します。
Illustratorバージョンの代表サンプル
Fabrixスクリプトはまた、2ヘッド(2マテリアル)の制御も可能とします。この結果、武藤工業株式会社の特許技術である「Bi-Matrix」などを、グラフィカルにデザインすることに貢献できます。また、こうした構造パターンを、STLで別途用意してつくってあった「外形」の形状に挿入する(スーパーインポーズ)することもできます。
Bi-Matrix
https://www.mutoh.co.jp/products/3d/mf_3000/index.html
Rhinoバージョンの代表サンプル(1)
空中描画を可能とします(サンプル1: CurVoxels)
https://www.curvoxels.com/
Rhinoバージョンの代表サンプル(2)
空中描画のサンプル(2)
WirePrint:
http://stefaniemueller.org/wireprint/
Rhinoバージョンの代表サンプル(3)
Meshlicer:
https://fabble.cc/sakesakechicken/meshlicer
Illustratorバージョンの代表サンプル(2)
Silkworm
http://projectsilkworm.com/
明治大学宮下研究室の試み(3Dペンを「筆」のように操る)
【UIST2016】 Thickness Control Technique for Printing Tactile Sheets with Fused Deposition Modeling
https://www.youtube.com/watch?v=fL9W5oxfj3g
【WISS2016】造形高さと樹脂量の設定による熱溶解積層方式3Dプリンタの表現力拡張
https://www.youtube.com/watch?v=926KP1Z8-XQ