バラバラもじパズルで新しい学習体験を

Created Date: 2026-07-31/ updated date: 2026-08-31
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Summary
 「書く」だけが文字の学習ではない。文字を分けて、考えて、組み立てる…
 「文字は何回も書いて覚えるもの」そんな学習方法が合わず、文字を書くこと自体を嫌いになってしまう子どもたちがいます。子どもの認知特性は一人ひとり異なり、学び方もさまざまです。しかし、楽しいと感じること、手を動かして実際に体験すること、そして今までの知識を生かして新しい学びにつなげることは、多くの子どもに共通する学びの土台になると考えています。この教材は、そのような考えに基づき、「できるだけ書かずに、楽しく文字に触れる」ことを目指して開発しました。
 文字を細かなパーツに分け、「この文字はどんな形に分けられるだろう?」「知っている形を組み合わせると覚えやすいかな?」と考えながら組み立てます。さらに、自分なりの分け方に合わせて語呂を作ったり、文字に自身の考えたパーツの境界線を書き込んだりすることで、一人ひとりの理解や発想を生かした学習につながります。
 一般的な教材では、部首や決められた区切り方で文字を学ぶものが多く見られます。一方、この教材では、子ども自身が「どう分けるか」を考えられることが最大の特徴です。子どもの知っている形や経験に合わせて自由に分けられるため、同じ文字でも異なる分け方や覚え方が生まれます。その違いが大人との自然な対話を促し、「どうしてそう考えたの?」というやり取りを通して、文字の構造への理解を深めることができます。
 また、パズルを組み立てる操作を通して、触覚や固有受容感覚を活用しながら文字を学べるよう工夫しました。3Dプリンタを活用することで、子どもが分けたパーツをオリジナルで製作でき、一人ひとりの学びに合わせた教材づくりを可能にしています。
 目指したのは、文字を嫌いにならず、自分らしい方法で文字を理解し、文字と仲良くなれる教材。
それが、「バラバラもじパズル」です。

Materials

    Tools

      Blueprints

        Making

        •  まずは制作に取りかかる前に、漢字をどのようなパーツに分解するのか、また、子どもが扱いやすく、さまざまな漢字を表現できる大きさはどのくらいなのかを検討しました。
           そのために、小学校5・6年生で学習する漢字を一字ずつ実際にパーツへ分解し、必要なマス数やパズル全体の大きさを検証しました。
           その際に、「漢字の持つ意味」と「漢字を構成するパーツ」の両方が含まれる語呂を作りました。

          その結果、以下の2点を決定しました。



          •  まず、漢字をパズルにするために、「漢字はどのような形に分解できるのか」「どのくらいのマス数があれば、さまざまな漢字を表現できるのか」を検討しました。そこで、小学校5・6年生で学習する漢字を一字ずつ、実際に自分自身でパーツに分解し、必要なマス数を検証しました。
             その結果、6×6マス、36マスのスペースがあれば、多くの漢字を無理なくパーツに分解して表現できることが分かりました。「なんとなく6×6」ではなく、実際の漢字を一つひとつ分解して検証した上で、この規格を決定しています。
          •  次にこだわったのが、パズルそのものの大きさです。漢字の細かな形やパーツの違いに気付きにくい子どもたちにとって、小さすぎるパーツは「見にくい」「触りにくい」「操作しにくい」という問題につながります。
             そこで、子どもの手の大きさを基準に、できるだけ大きく、見やすく、扱いやすいサイズにしました。
            1マスを10mmとし、パズル全体を縦60mm×横60mmに設計しています。「漢字を覚えるために書く」のではなく、まずは自分の手でパーツを動かし、組み合わせながら漢字の形を考える。そのために、子どもが無理なく「見て、触って、動かせる」大きさを追求しました。
        •  パーツを組み合わせて漢字を作るだけでなく、完成した漢字をそのまま「書く」活動につなげられるように、パズルを支える枠にも工夫を加えました。
           3Dプリンタで枠を製作する際には、パーツを正確に配置できることに加え、子どもが組み立てた漢字を確認しながら、その場で書字できることを意識して設計しました。
          •  漢字を6×6マスで構成するため、枠の外側にも縦・横それぞれ6マス分の目印を付けました。
             これにより、パーツを配置するときに位置を確認しやすくなり、漢字の形やパーツ同士の位置関係を意識しながら組み立てることができます。
          •  この教材では、パズルで漢字を組み立てた後、そのまま紙に漢字を書くことができるようにしました。
             そのため、枠を紙の上に置いたままでも書字できるよう、枠の横に板状の付属パーツを取り付けました。また、枠に厚みがあると、紙との間に段差ができて書きにくくなります。そこで、書字のしやすさと枠としての強度のバランスを考え、枠の厚さを3mmに調整しました。
             「分ける・考える・組み立てる」だけで終わらせず、組み立てた漢字を実際に書くところまで、一連の学習としてつなげられるように設計しています。
        •  漢字をさまざまな形に分解して組み立てられるよう、共通して使える基本パーツと、漢字特有の形に対応する特殊パーツの2種類を用意しました。
          •  例えば「印」という漢字は、左側と右側に半分に分けて考えることができます。この場合、6×6マスの枠の中に、3×6マスのパーツを左右に配置することで漢字を表現できます。
             このように、さまざまな漢字の構成に共通して使用できるよう、1×6、3×3など、複数の大きさ・形の基本パーツをデザインし、印刷しました。基本パーツを組み合わせることで、できるだけ少ない種類のパーツで、さまざまな漢字を表現できるよう工夫しています。
          • 特殊パーツ  一方で、漢字には「くにがまえ」や「しんにょう」など、単純な四角形や長方形のパーツだけでは表現できない特殊な形があります。そこで、3Dプリンタの造形の自由度を活かし、部首に合わせた特殊な形のパーツをデザインしました。  さらに、特殊パーツだけで完結するのではなく、他の構成パーツと組み合わせたときに「ぴったりとはまる」形状になるよう設計しています。  これにより、基本パーツでは表現しにくい複雑な漢字にも対応し、「漢字を分解する」という学習方法を、できるだけ多くの漢字に広げられるようにしました。
        •  実際に子どもたちとパズルを使う中で、「この形に分けたい」「ここで分けたほうが分かりやすい」といった、子ども自身のアイデアが生まれることがあります。しかし、既存のパーツでは再現できない場合もありました。
           そこで、子どもの「こう分けたい」という発想を大切にし、必要なパーツをその場でオリジナル設計・製作しました。例えば、1.5×4マスなど、既存規格にはないパーツも作製しています。(写真:オレンジのパーツ)
           決められたパーツに子どもを合わせるのではなく、子どもの発想に合わせて教材を変えていく。3Dプリンタだからこそ、一人ひとりの「こうしたい」を形にできます。
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          References

            Usages

            • ①漢字の上に枠を配置する

               まず、60mm四方の枠に収まるように漢字を用意します。漢字の準備方法は、主に2通りあります。

              ①-1 パソコンで印刷する
               Microsoft Wordで漢字を入力し、文字サイズを調整して印刷します。
              フォントに「UDデジタル教科書体」を使用した場合、「180~190pt」に設定すると、60mm四方の枠にちょうど収まります。

              ①-2 枠に合わせて大人が書く
               パソコンで印刷するだけでなく、紙の上に枠を置き、その中に大人が直接漢字を書くこともできます。その際は、先に枠の内側を鉛筆などでなぞっておくと、枠を外した後も漢字の大きさや位置を確認しやすくなります。

              これで、パズルを始める準備は完了です。

            • ②漢字を分解しよう

              ② 漢字を分解しよう
               枠の中に漢字を用意したら、「この漢字は、どんなパーツに分けられるだろう?」と考えながら、構成パーツをはめていきます。例えば「福」では、①「ネ」が見える→6×2マスのパーツで隠す、②「一」が見える→4×1マス、③「口」が見える→4×2マス、④「田」が見える→4×3マスのパーツを置きます。

               このように、漢字の中に「何が見えるか」を探し、見つけた形を隠しながら分解していきます。分け方に正解はなく、使用者が知っている文字やなじみのある形を手がかりにします。必要に応じて支援者が部首などを伝え、一人ひとりに合わせて進めます。

            • ③漢字に線を引いて分割しよう

              ③-1 見本の漢字に線を引く
               ②でパーツを分けたら、見本の漢字にパーツごとの境界線を引きます。実際のパーツを定規のように使うことで、簡単に線を引くことができます。

              ③-2 白紙にも分割線を引く
               次に、白紙の上にも枠を置き、③-1と同じようにパーツの境界線を引きます。これにより、見本の漢字を「どのように分けたのか」を確認しながら、実際に漢字を書くための準備が整います。

            • ④漢字を書いてみよう

              ④-1 パーツや分割線を手がかりに書く
               ③で引いた分割線に合わせて、パーツの形や位置を手がかりにしながら、漢字を書いていきます。「どこに、どの形を書くのか」を確認しながら書くことで、漢字の構成を意識して書くことができます。

              ④-2 何もない状態で書く
               最後に、枠やパーツなどの手がかりがない状態で、もう一度漢字を書いてみます。「分ける・考える・組み立てる」という過程を経て、最後は自分の力で漢字を書くことにつなげます。

            • ⑤アレンジ その1:間違い探し

               ここまで紹介した方法は、子どもの認知特性や得意・不得意によって、取り組みやすさが異なる場合があります。そこで、基本の使い方にとらわれず、子どもの興味や理解に合わせて、さまざまなアレンジを楽しんでみてください。

              【間違い探し】
               最初に、あえて一部を間違えた漢字を用意します。その後、パズルを完成させ、パーツを1枚ずつめくっていきます。「どこが間違っている?」を早押しで当てるゲームにすることで、楽しみながら漢字の形や構造に注目できます。
               まずは大人が間違えた漢字を子どもに指摘してもらうところから始めると、安心して意欲的に参加してくれる子どももいます。
            • ⑤アレンジ その2:これは何の漢字?クイズ

              【これは何の漢字?クイズ】
               パズルを完成させた後、パーツを1枚ずつめくっていきます。途中で何の漢字か分かったら、早押しで回答!パーツを細かく分けるほど難易度が上がるため、参加する子どもに合わせて調整できます。
               「学ぶ」だけでなく、「遊ぶ」から自然に漢字に触れることができるのも、この教材の楽しみ方の一つです。 
               写真は何の漢字か分かりますか…?「題」と「候」です!
            • ⑤アレンジ その3:語呂作り

               分解するときに見つけた形を組み合わせて語呂の文章を作ってみましょう。
              例えば、「福」の時には「ネ」「一」「口」「田」を見つけました。
              永さんのネーんぼができたよ」

            Project comments