Kamamori - Musubinowa

Created Date: 2025-03-09/ updated date: 2025-03-22
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Summary
結成当初、防災と観光の二点で課題意識を持っていたが、紆余曲折あって自然教育に関するモノづくりへ移行。自然教育の現状として、デジタル化や放課後の自由時間の減少などから、鎌倉市のみならず全国的に自然と触れ合える機会の減少が発生している。
自然は私達にとって不可欠なものである。しかし、そんな自然を守る人たちが後継者不足などから減少しつつあることで、自然に触れる機会、すなわち自然について知る機会が減っていることを知った。
このプロダクトは、自然の大切さを日常生活の一環として学び、体験することで自然保護に導いていく存在を目指している。
この結果にたどり着いた怒涛の活動内容を、ぜひ読んでいただきたい。

Materials

    Tools

      Blueprints

        Making

        • 2

          メンバーが問題だと思う事象をマインドマップに記入し、意見合わせを実施した。結果、観光地である鎌倉に来る外国人観光客は、地震や津波をはじめとした自然災害の危険性を認知していないことが一番の問題であると考察し、外国人観光客に向けた防災対策を進めることにした。
          • 3

            外国人観光客が抱えている課題について、意見出しを行った。そこで鎌倉市内の観光中に災害が発生した場合の避難方法や避難場所を知らないということを最重要課題に設定した。これにより、防災をメインとして観光要素も含めたプロダクトを制作することに決定した。
            • 4

              課題設定の後、グループ内でも鎌倉市のことをよく知らないメンバーがいることや実際に鎌倉でどんな事が起きているのかを調べるには街を見てみることが何よりの近道であると推測し、鎌倉市職員の方や鎌倉ガイド協会へのインタビューを実施した。
              • 鎌倉市の防災について学習するために、鎌倉市役所総合防災課へ災害対策に関するインタビューを実施した。職員の方の業務内容や、防災無線の聞き取りづらさなどの災害対策における課題点を聞くことができ、フィールドワークに向けた準備を進めることができた。
              • インタビュー結果を踏まえて自然災害が起きたときのリスクや、観光客が感じるであろう困りごとをガイドを受けながら観光客目線で考察した。しかし、実際に見受けられた課題は鎌倉高校前駅の踏切付近で発生している道路の無断横断や江ノ島電鉄の乗車率が過度に高いということだった。
              • フィールドワークについて振り返りを行ったところ、交通整理をしつつ、外国人観光客の無断横断を注意するという業務を鎌倉高校前1号踏切付近で年中行っている交通整理員をターゲットとして取り組むことになった。
            • 5

              鎌倉高校前1号踏切付近での外国人観光客による無断横断への注意の負担を軽減すると同時に、この場所は海に近く、津波などのリスクが高いため、防災ツールとしても活用できるように、その特性を生かしたプロトタイプの作成を行うこととした。 設置場所である鎌倉高校前1号踏切付近の道路は狭く、大型の物は設置できないことから、標識ポールに取り付けられる形状とした。また、鎌倉を訪れる観光客もターゲットであるため、視覚的にわかりやすく親しみやすい鎌倉大仏の形にデザインした。

              • 前述の通り、鎌倉高校前1号踏切を越えるとすぐに海が広がっているため、地震等による津波のリスクが大変高い場所となっている。特に地震と津波発生時に観光客に対して避難経路を伝えるため、ディスプレイに多言語で避難する方向を示し、音声でもアナウンスする。これを連続的に複数個所に設置することができれば、より明確に避難方向を示すことができる。

              • 普段は鎌倉高校前第一踏切で撮られた作例を表示することで、車道に出ずにきれいに写真を撮る撮り方を紹介。超音波センサーで車道に出た人を検知してディスプレイに多言語で警告を表示。将来的にはカメラを搭載して撮った写真を自分のスマホに転送することも考えた。
            • 6

              自然は、防災と観光に密接な関わりを持っていると考えた。そこで、鎌倉市の自然を守ることを第2テーマとした。
              • 自然は“緑のダム”と呼ばれるほど保水力があり、また木などの根が土砂崩れを防ぐなどの働きをする。防災を進めるにあたって、自然は一種の重要な観点である。
              • 三方が山で囲まれ、一方が海である鎌倉市は、豊かな農林水産物が採れることや竹林が多く分布しているのも魅力の一つ。そんな鎌倉市の観光を支えているのも自然の一つとなっていると考える。
            • 7

              鎌倉の自然について調査を進めていく中で、台峰緑地保存会発起人の川上克己さんへのインタビュー映像に辿り着いた。動画内では、鎌倉市の自然保護に関することや保護団体の後継者不足という課題を知った。
              • 生物多様性の損失は深刻で、多くの野生生物種が絶滅の危機に瀕し、生態系が急速に劣化している。森林伐採、乱獲、外来種の侵入などが主な原因だ。気候変動も大きな脅威であり、地球温暖化による気温上昇は、異常気象の増加など、自然環境に深刻な影響を与えている。温室効果ガスの排出量削減が重要な課題だ。その他にも、自然保護区の課題、里地里山の荒廃など、様々な問題が存在する。環境問題への意識は高まっているものの、個人の行動変容や企業の取り組みがまだ十分とは言えない状況だ。
              • 自然保護団体の後継者不足は深刻な問題となっており、高齢化と担い手不足が顕著である。多くの団体で後継者不足を理由に解散や活動休止を余儀なくされており、自然観察会などの参加者も中高年層が中心で、将来的な担い手不足が懸念される。里地里山の保全活動を行う団体においても、後継者不足や維持管理コストの増大が課題となっており、この状況が続けば、地域にとってかけがえのない自然資源や生物多様性が失われる可能性がある。対策として、若年層への啓発活動や地域住民との連携強化などが求められる。
            • 8

              後継者不足が実際に発生していることを知り、今の子供達が今後の自然保護を担っていく必要があると考えた。しかし、今の子供は自然に触れる機会が少なくなっている。すなわち「”自然離れ”が発生している」という課題を設定し、2つの仮説を立てる。
              • 子供が自然から離れている原因として、メンバーの実体験を意見交換し、”自然と触れ合える場所を知らない”ことと”放課後の時間の使い方が変化している”ことを仮説とした。
              • 未来の自然保護を担う子供達が自然に触れてその大切さを知ることにより、近年自然が破壊されつつあることに危機感を抱く子供が増えてほしい。そして、子どもの原風景に自然を置くことが、将来的に自然離れの解消へと導く事につながるのではないかと考える。
            • 9

              鎌倉市の現状調査を終え、ターゲットや課題を決定した後、NPO法人かまくら冒険遊び場やまもりへのインタビューを実施。 放課後に子供達が遊べる場所として開放され、裏山もあるため、子供が自然に触れるために貴重な場所である。
              • 高齢化社会が加速している世の中、鎌倉でも後継者不足が起きているのは確かだ。鎌倉の自然(里山)を守り続ける人が減少していることを最重要課題とした。
                そこで、鎌倉の自然を持続可能にするためのプロダクト制作を行うことに決定。
              • 自然と関わる子どもを増やすという目標を設定した私達は、自然について十分に理解できる年齢層をピックアップし、学校のカリキュラムなどと照合した結果、自然の大切さを十分に理解できるのは小学校高学年から中学生と考え、ターゲットに設定した。
            • 10

              事前に立てた仮説を立証するため、「かまくら冒険遊び場やまもり」へのインタビューを実施。団体立ち上げに込めた思いや仮説への意見、子供達の様子などを質問した。
            • 11

              私達は、小学校で行われる朝顔栽培に着目した。朝顔栽培は最初楽しんで取り組むものの途中で飽きてしまい、最終的には枯れた状態で学校へ持って行くという原体験がメンバー内で出た。これを踏まえ、枯らさずにするためには、どうしたらいいのかを考察し、楽しく記憶に残りやすく、自然に愛着を持てるプロダクト作りを目指した。
              • 自然を身近に感じさせるため、植物に愛着を持ってもらう方法から考えた。愛着を持つものを考察し、ペットという共通意見が挙がったためプランターを動物の形とすることに決定。音や光などの動きを加えて興味を引き、自ら自然に触れることを目標とする“ムスビノワ”の製作を開始した。
            • 12

              使用したパーツ ・microbit ・土壌水分センサー ・CO2センサー ・3Dプリンター を使用する。 センサー等の種類については土壌水分センサーの他、CO2センサーや㏗センサーなど多数のセンサーから得た情報を元に、植物にとって良い状態の土にさせるための指標づくりをしようと計画ていた。その時にはまだ「土にはCO2を固着する役割がある」などの情報を拾いすぎたため多くのセンサーを取り付けて正確な指標を得ようとしていたが、ファブラボ鎌倉の方に技術的なことを聞いたところ「水分以外はほとんど変わらないから意味がない」と助言をいただき、土壌水分センサーのみとした。
              • プログラムの構造としてはmakecodeを使用しプログラムを構築した。
              • 一般的に植物に最適な土壌中の水分の量が40%〜60%とされている。その数値を元に、インプットである土壌水分センサーの数値が400以上600以下の場合にアウトプットとして、microbitに内臓のスピーカーから「ピコーン」と音が鳴る。そしてmicrobitのLEDディスプレイがニコッとした表情になり、現在の数値を表示した後に首輪に見立てたLEDテープライトが緑色に光る。
              • 対称にその数値から外れると、microbitに内臓のスピーカーから「ファーンファーンファーン」と残念そうな音が鳴る。microbitのLEDディスプレイがムッとした表情になり、現在の数値を表示した後に首輪に見立てたLEDテープライトが赤と青に走るように光る。
              • microbitのAボタンを押すことでいつでも数値を確認できるようにしてある。
              • 変化した時にしか上記の演出ができないため、視認性にこだわった。 首輪に見立てたLEDテープライトとmicrobitのLEDディスプレイの表情を見ただけで状況がわかるようにした。microbitのAボタンを押すことでいつでも数値を確認できるようにしてあるのも、演出がない時にもどれくらいの水をあげればよいかを示すためである。
            • 13

              「ムスビノワ」の外装は、3Dプリンター技術を利用した。その中でチームは、ペットのように愛情を持ってほしいと思い、外装を犬の形で作成した。作成方法としては、Autodesk Fusionを使用してモデリングを行い、ムスビノワの犬の部分から土と植物が簡単に取り外しができるように2重の構造とした。
              • ユーザーにとって最適なサイズを常に考えて、可愛くてサイズもちょうどいいサイズ・デザインを目指し、モデリングをした。特に、2重構造にしたのも大きめのプランターであるため土と植物の部分だけ簡単に移動させたい時を想定し、デザインを行った。
            • 14

              冒険遊び場やまもりの坪井さんと煤賀さんにプロダクトをご覧いただき、講評を受けた。
              • 一点張りになると子どもの興味は続かないと思うので、土を子供の手で育てるというアナログと、データを元に会話できるというデジタルの融合が評価点だが、植物栽培だけで終わらせるのはもったいない
              • ターゲット層に設定している小学校高学年の子供達の意見を実際に聞くことができた。すると、「面白い!」や「可愛い!」、「これなら続けられそう」という前向きな意見をいただいた一方、「犬だけしかないの?」などの意見もいただいた。
              • プロダクトの大きな機能変更などは行わず、このプロダクトを使い続けるための仕組みづくりを進めることにした。
            • 16

              植物に愛着を持ってもらうためには、まずプロダクトに親近感を沸かせる必要があると考えた。そのため、プランターを制作するイベントの開催も検討している。 
              また、植物では育てるだけになってしまい、自然の面白さを体験できずに終わってしまうのではないかと考え、藍を育て、栽培後には藍染ができるイベントを実施することを考えた。ただ、イベント開催の準備に当たるスタッフの負担を考慮し、葉染めにすることも検討している。

              • ファブラボ鎌倉でプランターをモデリングするだけでなく、センサーやLEDを取り付ける作業からプログラミングまでを、子供達自らが体験する。また、ジュニアリーダーズなどと協力し、イベントの運営を有志の学生がサポート。完成品を持ってやまもりへ行き、藍の種と土を受け取り自宅で栽培をする。
                しかし、全工程を子供達にさせることはかえってやる気を削いでしまう可能性があると考えたため、モデリングデータなどをキット化することにする。そうすることで、個々のレベルに合わせて対応することが可能になる。

              • 夏に藍を収穫した後、藍染めワークショップを実施する。子どもたちは自分たちで育てた藍を使い、葉を摘み取るところから染色までを体験。叩き染めや生葉染めを行い、植物が製品に変わる過程を学ぶ。染めた布は持ち帰り、自然の恵みを実感できる思い出に。使用済みプランターは自宅で保管またはファブラボ鎌倉へ返却できる仕組みも整え、自然の循環を学ぶ機会を提供する。

            • 17

              たくさんの子供たちに自然に触れてもらいたいため、将来的には小学校を拠点として自然に触れるサイクルを生み、より多くの子供たちが自然を原風景として持てるようにしたい。 そうすることで、子供が成人したときにその祖先へと自然の大切さを伝え続けることが自然保護や後継者不足解決への第一歩になると考えている。
              • 18

                今回の活動を通して、防災と観光という一見異なる分野を深掘りする中で、その共通点として「自然」の存在に気づくことができた。さらに、現代社会ではデジタル技術が当たり前のように存在しているが、アナログな体験の価値にも改めて気づかされた。 制作する過程で、自分の考えを表現する手段は文章だけだと思っていたが、3Dプリンタに出会ったことで、新たな表現方法を習得し、自分の可能性を広げるきっかけとなった。最終的に、キット化したことでより一層使ってもらいやすくなり、教育的な効果を添えられたのはとても良かったと感じている。
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