- 今回私たちが扱う課題の1つ、キャリパーは、ボッチャにおいてボール同士の距離を正確に測るための測定器具です。目視で判定が難しい接戦の場面で使用され、どのボールがジャックボールにより近いかを公平に判断するために用いられます。審判が扱う重要な道具であり、競技の正確性を支える役割を担っています。
- これまで私たちは豊田市ボッチャ協会の方と連携して,障がい者の方のための競技用グッズの開発に向けた活動を行っていました。ボッチャについて調べ,ボッチャ協会の方と交流を持つ中で、ボッチャを色々な人に知ってほしいという思いが生まれた私たちには、Fabquestに参加することが決まった時、すでにボッチャを広めるようなプロダクトを作りたいという思いが共通認識としてありました。
- 私たちは最初、鎌倉といえば観光地のイメージがあったため、鎌倉の観光地とボッチャを掛け合わせることで、ボッチャの知名度を広げたいと考えました。そこで考えたのが鎌倉の砂浜(例:由比ガ浜)で、ビーチに訪れた人にボッチャをしてもらう「砂浜ボッチャ」です。特に若年層はボッチャに触れる機会が少ないと考えたため、若者や観光に訪れた観光客を対象とし、加えて砂浜でボッチャを行うという話題性を掛け合わせることで、知名度を上げることが目的です。
- 砂浜ボッチャを実現するために、私たちは以下の2点について考えました。
・ボールは何の素材で作るのか
→砂浜でボッチャ競技用のボールを使用する場合、通常のボールではボールが汚れてしまうため
・コートをどのように描くか
→ビーチに訪れた人に実施してもらうことを想定していることから、誰でも手軽にコートを引けることが重要だと考えたため - ボールを何で作るかについては、最初は鎌倉の砂浜に落ちているマイクロプラスチックなどを回収・再利用してボールを作れないかと考えました。理由としては、砂浜でボッチャを楽しんでもらいながら、鎌倉の海が抱える環境問題も知ってもらいたいと考えたためです。調査する中で「プレシャスプラスチック鎌倉」という活動を見つけ、Fablaboとも関わりがありそうだと分かりましたが、この取り組みはすでに2年前に終了しており、実現は困難と判断しました。
- コートの描き方については、以下に示すような案を検討しました
・自動で線を描くロボット
・レーザーで線の位置を示すロボット
しかし、いずれも実現性が低く、現実的な案とは言えませんでした。 そこで最終的に、砂浜でも通常のボッチャでも使える十字型のプロダクトを制作することにしました。突起部分に糸を引っ掛けることで、さまざまなサイズのコートの線を簡単に引くことができます。
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μKamakuLABoccia by Riiiin, rukakondo, SeijiNAKAYAMA, TomohiroIwata is licensed under the Creative Commons - Attribution-NonCommercial-ShareAlike license.
Summary
ボッチャでは、キャリパーという道具を使ってボールの距離を測り、審判が判定を行います。
しかし、鎌倉市ボッチャ協会では「審判が難しい」という課題があります。
そこで、私たちは、新しいキャリパー 「Cali-Partner(キャリパートナー)」 を開発しました。測定位置を安定させる仕組みや、micro:bit を使った点数表示機能によって、審判の作業をより簡単で正確にします。
この装置によって審判の負担を軽減して、気軽にボッチャをできる環境を作り、ボッチャ人口を増やします!
しかし、鎌倉市ボッチャ協会では「審判が難しい」という課題があります。
そこで、私たちは、新しいキャリパー 「Cali-Partner(キャリパートナー)」 を開発しました。測定位置を安定させる仕組みや、micro:bit を使った点数表示機能によって、審判の作業をより簡単で正確にします。
この装置によって審判の負担を軽減して、気軽にボッチャをできる環境を作り、ボッチャ人口を増やします!
Materials
Tools
Blueprints
Making
- 鎌倉ボッチャ協会の方へのヒアリングから、砂浜は地面がボコボコしており競技に適さないため、実施は望まれていないことが分かりました。そこで改めてニーズを探った結果、現場ではキャリパーの扱いづらさや審判の負担の大きさが課題となっていることが判明しました。これを受け、私たちはキャリパーの改善と審判補助ツールの開発へと方向転換しました。
- 私たちは、ボッチャの知名度を高めるために「砂浜ボッチャ」というアイデアを考案しましたが、鎌倉で本当にニーズがあるのか確信が持てませんでした。そこで調査を進める中で、鎌倉には「鎌倉市ボッチャ協会」という団体が存在することを知りました。
そのため私たちは主に、
・砂浜ボッチャに需要があるのか
・鎌倉市ボッチャ協会の方がどのような課題を抱えているのかを把握するため、協会に連絡を取り、リモートでインタビューを実施することができました。 - 鎌倉市ボッチャ協会は、2023年3月に鎌倉市で初めて設立されたボッチャサークル「鎌倉ボッチャ・キートス」を前身とし、2025年3月に正式な協会として発足しました。現在は、腰越と鎌倉福祉センターの2か所を拠点に活動を行っています。
さらに2026年4月からは、『つながる鎌倉エール事業・地域活性化コース』の一環として、地域の団体や学校、企業など、それぞれのニーズに合わせてボッチャを提案する「出張出前ボッチャ」の活動を開始する予定です。(2026/3/13閲覧)
https://npo-kamakura.com/wp-content/uploads/2026/01/11506.pdf - 「砂浜ボッチャ」を協会に提案したところ、結果としては否定的なご意見をいただきました。いただいた懸念点は以下の通りです。
・鎌倉市街地と海が地理的に離れているため、わざわざ海まで行ってやりたいとは思わない
・砂浜ボッチャは若者向けであることから、全世代に楽しんでもらうことが難しい
・砂浜は地面が平らではなく凸凹であり、プレーに大きく影響が出てしまう
・ボールが砂で汚れることへの抵抗感がある
インタビューによって「砂浜ボッチャ」は鎌倉市ボッチャ協会のニーズと一致していないことが明らかになりました。そこで私たちは、もう一度プロジェクトのテーマを見直すことにしました。
- インタビューを行う中で、鎌倉市ボッチャ協会の方から「キャリパーは留め具が壊れやすく、すぐに使えなくなってしまうため、ボールなど大きなものはプレゼントできないが、ボッチャに興味を持ってくれた子どもたちにはキャリパーを渡してあげたい」という思いがあることを知りました。
この話を聞き、私たちは「目の前の鎌倉市ボッチャ協会の方に喜んでもらえるものを作りたい」という気持ちが強くなりました。そして、協会の方のために作ったプロダクトが、いつかボッチャの未来を支え、ボッチャの魅力を広めるような存在になってほしいという思いも込め、キャリパーの改善をプロジェクトテーマとして進めることに決めました。 - また、鎌倉市ボッチャ協会には「審判をやってくれる人がなかなか増えない」という課題があることを知りました。「審判ができる人が増え、自分たちでボッチャを開催できる人が増えていけば、ボッチャに触れる機会が広がり、競技人口の拡大にもつながるのではないか」といった協会の思いを受け、私たちはキャリパーに関する課題について自分たちで調べ、聞き込みからもいくつか問題点を見つけることができました。
- キャリパーについての主な問題点は以下の通りです。
・キャリパーはボールの半径である4cmの高さで使う必要があるが、初めて使う人にとっては難しい
・キャリパーの留め具が緩いと、ボール間を移動して測定する際にずれてしまい、試合結果に影響を与える可能性がある
・審判は測定と同時に得点を記憶しなければならないため、盤面が複雑になるほどプレッシャーや負担が大きくなる
これらの課題を解決できれば、審判のハードルが少しでも下がるのではないかと考えた私たちは、これらの問題点に向き合い、改善につながるプロダクトの制作に挑むことにしました。
- 「審判の負担を減らす」ことを目標とした、1stプロトタイプです。
1stプロトタイプで目指した機能は- 付属のキャリパーで地上から4cm(ボールの中心)ボールどうしの距離を測る。
- 赤チームと青チームの点数を数える。
- 点数を送信側のディスプレイで表示する。
- 受信側のディスプレイで点数を表示する。

- 1stプロトタイプでは、4cm(ボールの中心)の高さにキャリパーを固定して測り、点数を数えて送信して表示し、審判の負担を減らすことを目標に制作しました。 インタビューで伺った点が、
- 4cmの高さで固定するのが難しい。
- ラウンドごとの複数の点数を覚えているのが難しい。
- すぐに結果がわからない。
- micro:bit2つを点数の記録と受送信、OLEDをキャリパー側の点数表示、7セグを得点版に使いました。ボタンを押されると、キャリパー側のmicro:bitが点数の記録と送信を行い、得点版側のmicro:bitが受信と点数表示を行います。makecodeを使って、プログラムを構築しました。

- 完成した1stプロトタイプを、鎌倉で実際に鎌倉市ボッチャ協会の方と試してみることは難しかったため、豊田市ボッチャ協会の方にご協力いただき、Cali-Partnerをキャリパーとして使ってみるとどうなるか実証実験を行いました。その後、鎌倉ボッチャ協会の方にオンラインで、1stプロトタイプを見ていただき、ヒアリングを行いました。
- 鎌倉市ボッチャ協会の方と実際に会って試すことは難しかったため、学校近隣の豊田市ボッチャ協会(愛知県)の方と、1stプロトタイプの実証実験を行いました。その際に以下の意見をいただきました。
- キャリパーの空き具合の調整はボールとボールの間で行ってはいけない→現在はボールとボールの間で調整する仕様のため、調整中にボールが動いていしまう恐れがある
- ボールの上で調節しようとすると箱を持ち上げる形となるため調整がしづらい
- キャリパーの留め具はきつすぎても緩すぎても調整に影響が出てしまうため良くない
- 直接会うことは難しかったため、オンラインで鎌倉ボッチャ協会へのヒアリングを行いました。そこでは、以下のような意見を頂くことができました。
- 横に長い箱は動かしづらい
- ボタンが天面にあると間違って押してしまって、使いづらい
- キャリパーの先は細ければ細い方が測りやすいため助かる
- キャリパーの留めるねじは緩すぎると移動時にずれてしまうため好ましくない
- キャリパーの先の角度にはきまりがない
- 最初の設計では、キャリパーを収納・操作する箱を横長の形状で考えていました。しかし実際の使用状況を想定すると、「測る → 移動 → 測る」という動作を繰り返す必要があり、そのたびに横に長い箱を持ち運ぶのは扱いづらく、動作の効率を下げてしまうことが分かりました。特に審判はスムーズな進行が求められるため、この点は大きな課題となりました。
- エンドで分ける機能を追加した当初、その時のエンドの得点が表示されるように制作していたので、最終エンドが終わった時にどちらのチームが勝利したのか分からなくなってしまうということに気づきました。そこで、VIEW MODEのなかに、TOTAL SCOREというボタンを追加し、そのボタンを押すことで、今までの各チームの合計得点と、最終エンドを表示できるようにしました。

- エンドごとの得点管理を実現するために配列を採用しましたが、ボッチャは個人戦が4エンド、チーム戦が6エンドと試合形式によって異なるため、固定長では柔軟性に欠けるという課題がありました。そこで、エンド終了ごとに必要な分だけ追加できる仕組みを導入しました。この方式により、
- 個人戦とチーム戦の切り替えが不要
- 練習試合にも対応できる
- 無駄なメモリを使わずに済む

- ボッチャのルールでは、1エンドの最高スコアは6点です。それに合わせて、1stプロトタイプでは、1エンド分のみを想定して制作したのでスコアが0〜6の時に対応したプロトタイプを製作しました。しかし、最大9エンドまで試合ができる機能を追加したことにより、スコアが2桁になる可能性に考慮する必要が出てきました。1stプロトタイプのプログラムでは点数版に2桁表示させることは難しかったため、スコアが0~9の時と、10以上の時で場合分けされるプログラムに改良しました。写真は24対11(5エンド)を表示しています。

- リセットボタンを新たに作り、ゲーム終了後、リセットボタンを押すことで新しいゲームを始められるようにしました。誤操作を防ぐために、2秒以上長押しすることでリセットされるようにしました。
- ボッチャ協会へのヒアリングから、外装を改善しました。 2ndプロトタイプでは、箱の形状を縦長に変更し、片手でも持ち上げやすく、移動しやすいデザインへと改善しました。さらに、初期案で天面に配置していたボタンについて、「誤って押してしまう」「操作しづらい」といった意見を伺いました。特に測定中に手が触れやすい位置にあることで、意図しない操作が発生してしまう点が問題でした。そのため、ボタンの配置を天面から側面へと変更し、誤操作が起こりにくいように工夫しました。

- 1stプロトタイプに修正を加え、新たな機能をもつ2ndプロトタイプを鎌倉ボッチャ協会の方々に確認していただきました。そこで、ボッチャの公式記録や表示板では、各エンド終了時に「そのエンドで何点取ったか」ではなく、「現在、合計で何点になったか」を即座に把握できる必要があることを教えていただきました。 私たちは、そのエンドで獲得した点数を表示できるように制作していたので、累計得点を表示できるように変える必要がありました。このフィードバックを受け、表示システムをさらにブラッシュアップしました。
- もともと私たちは「ボッチャをもっと多くの人に知ってもらいたい」という思いがありました。鎌倉ボッチャ協会の方へのヒアリングを通して、審判が使うキャリパーに問題があることや、試合中に多くの作業を同時に行うため負担が大きいことを知りました。そこで、Cali-Partnerには「測定技術を補う」「審判の負担を減らす」という二つの役割を持たせました。改良したキャリパーに得点表示機能を加えることで、特に初心者の審判が抱える不安を軽減し、心理的負担を和らげることができると考えています。この取り組みが新たなボッチャのコミュニティづくりにつながることを願っています。
References
Usages
Project comments
















































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