ファブ3Dコンテスト2017:カテゴリー2 痒いところに手がとどかない

Created Date: 2017-10-16/ updated date: 2017-10-17
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Summary
ファブ3Dコンテスト2017:カテゴリー2 痒いところに手がとどかない
母親がアトピー性皮膚炎のため、寝ているときに瞼や首などを掻いてしまう。
掻くことによってさらに皮膚の炎症を引き起こしてしまい、結果として炎症は収まらず、回復するまでに多くの時間を要していた。
こうした悪循環を防ぐために“装着”と“掻きむしり”の問題点を解消する、筒状型の腕コルセットのデザインを考えた。

Materials

    Tools

      Blueprints

        Making

        • ①アトピー性皮膚炎の母がよく皮膚を掻いており、注意をするが改善されないことが多かった。
          ②アトピーのことを調べると、自分の力では解決しがたい現状に気が付いた。
          ③母に話を聞くと、夜中掻いてしまう事が多いということから、母が書籍で見つけた"掻きむしり防止のコルセット”のようなものを3Dプリンターで作れないか?とリクエストされた。

          【参考文献】
           戸田淨(1995)「大人のアトピーは自分で治す」講談社
            • 最初に肘が曲がらないようにするためにバングル型を考えた。 しかし、この形だと1人で簡単に付け外しすることが困難であるため、バングルの開閉部分に工夫する必要があった。 そのため開閉部分の近くに紐を取り付け、それを引っ張ることで開く構造を考えた。

              結果ヒンジだと簡単な着用がやはり困難であることと、肘部分での固定に不安なところがあり、肘上などにずれる懸念から、この型を使用することは断念した。
            • 次に、バングル型の問題点である取り外しが困難という点を緩和したギブス型を考えた。
              この型は、トルコの学生であるDeniz Karasahinが作った3Dプリンターで作れるギブス「Osteoid」のデザインを参考にした。

              参考画像引用元

              ギブス型は腕の形にフィットしている必要があるため、腕の形のデータが必要となる。
              そこで、3Dスキャナーのsenseを使用し、腕のデータをとった。このデータを利用することにより、腕の形状に沿ったモデリングをすることが可能となった。
            • senseでスキャンしたデータを参考にモデリングをした。
              綺麗なギブス型の作成には成功したが、型が大きすぎるため出力することができないという問題が生じた。
              そのため、手、腕、肘の部分でパーツを分け、後から接合する方法をとることにし、部分ごとのパーツのモデリングをした。
              しかし、このデータの試作品を出力した結果、写真のように中が埋まる問題も発生した。
            • 中が埋まる問題は厚みが極端に薄くモデリングされていることが原因だと判明した。なので、それぞれのパーツに少し厚みをつけて出力をしてみることにした。
              ノズルのつまりにより肘部分のパーツがうまく出力されなかったが、この試作品を観察したところ、データ上でパーツの下が綺麗な平面になっていないことに気が付いた。また、これにより腕にサポーター材が大量に付着し、見た目や肌触りに問題が出ることもわかった。
              そのため、すべてのパーツの下を平面に切り取り出力してみた結果、腕のパーツ以外は綺麗に出力することができた。
            • 腕部分のパーツについてはドーム型のようになっているため、一部綺麗に出力することができなかった。
              この部分を修復するために3Dペンやパレットナイフを使用した。3Dペンの使用は初めてであったが、操作は思っていたよりも難しくなく、該当箇所を綺麗に修復することができた。
              また、サポーター材やラフトを取り外したところが微妙に凸凹しており、肌にかすり傷ができてしまっていた。
              使用する上で問題となるため、これについてもヤスリで削った後、3Dペンで縁取りをした。
          • 最後にすべてのパーツをグルーガンで接着し、器具が完成した。肘に着用するパーツについてはどの向きで装着をすればよいかわかりづらいため、3Dペンで矢印を書き、使用者にわかりやすくなるよう工夫した。
            今回はグルーガンのみで接合を行ったが、どの程度接着しているのか強度面で不安が残った。この場合は凹凸をつけることにより、よりパーツが密着するような構造にする必要性を感じた。

            ファブリケーション機器は3Dプリンター(フィラメントはPLA)と3DスキャナーSense、3Dペン、ソフトウェアはAutodesk Fusion360、MakerBot Desktop、3D systems Senseを使用した。
          • 寝ているときにアトピー性皮膚炎の影響で、首や目の周り(特に瞼)を掻いてしまっていました。
            掻かないことを意識し、市販の掻破防止手袋(ミトン型)なども使用しましたが、取り外し防止のマジックテープをベルト通しにくぐらせる必要があり、一人では着用が困難でした。
            図書館で借りたアトピー関連の本にアイディアとして紹介されていた、肘を固定して首から上の掻きむしりを防ぐパーツを作って欲しいと依頼しました。

            • 当初は両手とも、手の甲から肘まで固定するパーツを考えていましたが、着用の簡便さと寝やすさを考慮し、左肘ストッパーと右手を固定するパーツを希望しました。
              完成品は右手のパーツは全て接着されていましたが、着用して就寝した翌朝は上腕筋がテニス肘のように少し張っていました。
              そこで「手の甲と支え軸」と「右肘ストッパー」の接着を解除したところ遊びが出来て快適になり、張りもなくなりました。
              着用すると若干肘が曲がった状態で布団に入ることになるので、布団の上に手を出した方がより違和感が減りました。

              最後に・・・私はメガネをかけているのですが、先にパーツを着用してからメガネを外すことは非常に困難でした。
              手が届かない~
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