- 1.夜ベッドに入る前に、たこロッカーにスマホを預けます。2.自動ロックがかかって、次に開くのは朝の4時。3.さらに、1時間後の5時には自動で再ロックがかかります。夜のだらだらスマホを禁止して、強制的に早起きさせる"めんだこ"の誕生です!
- 深海に住む、くらげのような形がかわいいタコ。耳でぱたぱた泳ぎます。なぜめんだこかって?「緊急時には壊したい!でも簡単に壊すことができないようにしたい!」その希望の答えが、"可愛くて壊すのをためらう生き物"でした。
MENNDAKOロッカー
Owner & Collaborators
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Summary
入れるものはスマホ、守るものは朝の時間。
「ぜったいに早起きできるアイテム」つくってみました。
「ぜったいに早起きできるアイテム」つくってみました。
Materials
Tools
Blueprints
Making
- 人と人、アイディアとアイディアが交差する、この場所だからこそ。
- 私の職場グッデイファブ大名は、一般の方でも、レーザーカッターや3Dプリンタを利用できる会員制のメイカースペースです。日々様々な方が利用する場所だからこそ、機材の使用例やノウハウ、失敗談、そういったモノ作りの記憶が蓄積されていきます。そして、スタッフとお客様、そして偶然その場に居合わせたお客様同士、共有しあうことでアイディアが広がってゆきます。人と人、アイディアとアイディアの交差が、新たな作品を生み出し続ける、おもちゃ箱のような場所。めんだこはここで誕生しました。この場所が大好きな気持ちを込めて!
- 遅くまでスマホを見ちゃって、寝るのは1時や2時。ギリギリの時間に起きて、疲れたままの身体を引きずるように出勤。夜更かしスマホに使っている時間を、活力いっぱいの朝時間にかえたい。こうして浮かんだ私の課題は「早起き」解決のためのアイディアは、・夜スマホを閉じ込めるためのハコをつくる・早朝にしか開かない仕組み・さらに締切時間になったら、勝手に再ロックされちゃって取り出せなくなる
- アイディアを思いついたものの、どう形にして良いかわからない。お手上げ状態のときに、グッデイファブ大名に通りかかったのは、3Dプリンターを使ったプロダクトデザイン、設計をしている会社、”Boolean” のTokiさん。「何も難しいことじゃない。発起人はあなた、3Dモデリングや機構の現実化は僕が出来る。じゃあ次にすることは、電子工作やってくれる人を見つけることだ」こうしてものすごくナチュラルに、私の早起きプロジェクトに参加してくれることになったTokiさん!Tokiさんの活動拠点は北九州、頻繁にお会い出来るわけではなく、遠隔でデータのやり取りをしていくことに。
- 緊急時には壊せるようにしたい、でもちょっとスマホを見たいくらいでは壊せない仕掛けが欲しい。そこで生まれた次の課題は"壊すのをためらう形のハコをつくる"こと。グッデイファブ大名ではたらく上司、ワタベさんも会話に参加してくれて、いつのまにか机を囲むように輪ができていきます。Tokiさん「物凄く叩き壊しづらいモノって何?あ、おかあさんは?」
だめ!!!
おかあさんのことが好きで、倫理的にだめ!
ワタベさん「よしむらさん猫飼ってるよね?」
だめ!!!
カエちゃんを叩き潰すのはだめ!可愛いんだけれども、"なんだこれ"という意外性のある面白いもの……と駄々をこねていたら、ふと上げた目線の先に発見が。 - 目があったモノは、3Dプリンター、Afinia H800で作られたサンプル"めんだこ"
グッデイファブ大名にはさまざまなデジタル機器が設置されていて、至る所にサンプルとしての制作物が飾ってあります。
Tinker Cadでワタベさんがデザインして作りあげた"めんだこ"
実はワタベさん、イカやタコ、深海魚について尋ねるとイカタコおさかな愛が止まらない、そんな一面を持っています。
ワタベさんのおさかな愛を日頃ひしひし感じている私。これなら、ちょっとやそっとスマホ見たいくらいじゃ叩き壊せない!
「私にワタベさんのめんだこをください!」
「いいよ……ふふ」 - 残すところは一番の要、めんだこの内臓部分です。「面白そうだね」と快く引き受けてくれたのは、平岡さん。同じグッデイファブ大名に勤務していますが、普段は電子工作の先生をしていて"natural science Fukuoka" という教室で、子どもたちに電子工作やプログラミングを教えています。これで、めんだこを形にできそう!ここまでが、応募が決定してからの2日間。アイディアが形になっていくこのスピードも、グッデイファブ大名という場所があってこそ。
- タコ型のフタを強く叩くと、ハコが壊れる仕組み。ハンマーつきでTokiさんが設計してくれました。よく見るとタコの脳天に"急所"のテキスト入り。忙しい中深夜に設計してくれたTokiさん。深夜1:00の遊び心が入っています。壊すときはハンマーで、ココを思い切り叩きます!
- ・ソレノイド突起のある2つの銀色のパーツ。この突起が出ると、箱の穴と引っかかって施錠されます。・マイコン黄色の丸シールが付いた細長い部品。プログラムが入っている部分。各部品の司令塔です。午前4時に"ソレノイド"を引っ込ませて、1時間後に出っ張らせる。そう命令すれば、1時間しか開かない箱の出来上がり。・メロディーICとスピーカー水色のスピーカーに繋がっている、小さな黒い端子にメロディー情報が入っています。マイコンにプログラムを入れれば、開錠時に「エリーゼのために」が流れる仕掛けが!平岡さんも遊び心!
- 使用したのは、Afinia H800とAfinia H400。積層型で、細い壁や細かい部分も綺麗に積み上げてくれます。ハコ→壁→タコのフタ→ハンマー用の埋め込み文字→ハンマー本体の順でプリントしていきましたが、最後のハンマー完成までたどり着いたときがものすごく嬉しい!失敗作を生んだ時間も含めると、総出力時間は40時間ほど。実は私、3Dをしっかりと使ったのは今回が初めて。FAB3DCONTESTが大きなきっかけをくれました。完成までにたくさんの失敗がありました。
- 起こったハプニングと、どうやって克服したか
- 素材はABSという樹脂ですが、底面積が大きい場合、どうしても反ってしまいがち。縦方向に回転させて出力することで、綺麗に出力できました。タコやBOXも、なかなか一度ではうまくいかなくて、失敗したフィラメントの山が……!これだけでタコもう1匹出来そうなくらい!しかし、失敗を元に回転や速度、積層ピッチを調節することで段々と上手く出せるようになってきます。予想通りに上手くいくと楽しい!!
- サポート材の設定不足で、なんとタコの耳が失われる。ワタベさん「それもまたいい。海で戦って負けて、うまく泳げなくて同じ方向ばかりに回っちゃうめんだこ……ふふ」私自身も、見つめてくる表情にもうしっかり愛着が湧いています。とても破棄なんて出来ないので、耳手術にチャレンジすることに。樹脂粘土をつかいます。手で成形した耳パーツを、接着剤でつけて、上からNUROで塗装。これで、まっすぐ泳げるようになりました。デジタルファブリケーションに、ほんのちょっと、耳の先だけ手作業がくっついています。
- Tokiさんがデザインしてくれた、埋め込み文字ハンマー!接着剤を使わずとも、打ち込んでハマる設計になっています。せっかくデザインしてもらった文字ですが、ペタッと寝かせて出力すると、表面が綺麗に見えないことに気づきます。積層ピッチを細かくしても、縦方向にしかきめ細かくならない!そりゃそうか。やってみて初めて気づきました。文字を起こして、縦に出力すると表面が綺麗に仕上がりました。積層ピッチは0.15mm細かい部分まで綺麗に仕上げてくれます。最高品質(速度ゆっくり)でプリントしても、1文字10分ほどで仕上がるので、文字の向きを「縦」「横」「ナナメ」にかえてみて、満足するまで思う存分遊んでみました。
- ノズルとボードの距離が近すぎると、上手くフィラメントが出ないし、遠すぎると、写真のようなチキンラーメンになります。ここから0.1mmずつ調整して、近づけて、やっとベストな位置へ。この時は+0.3mmのオフセットでちょうど良い出力具合に。ボードの水平をとるキャリブレーション、デザインに適した積層ピッチ、スピード。この調節が上手くなっていく過程がすごく楽しいです。「このパーツの薄さなら、積層ピッチ0.3mmでスピードは遅くすると良いよ」上手くいかないときの調節について尋ねると、Tokiさんや、平岡さんは瞬速で答えを出します。……スゴイ!でもきっとそれも、数々の失敗や経験を超えての技(ですよね?)
- 感想とまとめはMemosに。
- 白紙の状態から課題と解法をみつける、アイディア探しの旅。今回の課題、"早起き"も、実は「まずなにからアイディアを探せばいいかわからない」白紙の状態から見つかったものです。この課題を見つけるまでの過程を、付属編として掲載します。
- 図のように、2つのダイヤモンドを並べます。まずは、下部から。はじめに、身の回りの疑問(Question)を1つ見つけて、なぜそれが気になったのか、その理由をいくつか出してみます。そうして発散したいくつかの理由から、1つ解決したい課題(Issue)を選びます。課題が決まったら、上部のダイヤモンドに移行します。今度は課題解決のためのアイディア(Approach)をいくつか発散させて並べます。このなかから、解法(Solution)として一つをピックアップ。ダイヤモンド型に、発散と収束を2回繰り返す思考法です。今回の私の課題は、実際にこの方法で見つかったので、実例を記していきます。
- あわせて利用したもうひとつの思考法が、マンダラート。実はグッデイファブ大名は、今回のFAB3D CONTESTの、応募者支援施設として登録されています。まだみんな、何を作るか決まっていない一番初めの段階で、"ワタベ塾"が開かれていました。テーマはアイディアを生み出すこと。そこで紹介されていたマンダラート、私も実際にやってみました。ダブルダイヤモンドと融合させながら進めると、やりやすかったので、実際に使ったシートを元に紹介します。
- まずは1つめのダイヤモンド、いちばんはじめのQuestionをみつけます。ここでマンダラート。紙に9マスのマス目を用意して、真ん中になんでも良いので"ことば"を入れます。ワタベさん「今日のテーマはごはん!」"ごはん"を真ん中に書いたら、まわりの8マスに"ごはん"から連想するネガティブなことを記入していきます。そして書いたことから、1つをピックアップ!これがダイヤモンドの始点にあるQuestionに。わたしのQuestionは、"自炊の習慣がつかない"こと。
- つぎに、ダイヤモンドの広がった部分をつくります。"どうして自炊の習慣がつかないのか"考えられる理由を、再びマンダラートで周囲の8マスに広げます。ここから、特に解決したい課題をひとつピックアップ。私が選んだのは"早起きできないこと"これが2つのダイヤモンドを結ぶ中間地点に。
- 課題を真ん中に記入したら、次はそれがどうやって解決できるのか。解決のアプローチを書いていきます。ここで最終的にピックアップされた1つが、解法に。私が選んだのは、"夜スマホ禁止"MENNDAKOロッカー、実はこうして"ごはん"というキーワードから生まれた解法でした。
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