- 先日、日本を襲った台風19号「ハギビス」。幸いなことに僕の家は無事だったものの、テレビを点けるたびに映し出される浸水地域の映像。その映像を見ていて、僕は2011.3.11 東日本大震災の際の映像を思い出した。お恥ずかしい話だが、当時はまだ小学二年生だったということもあり、災害自体に関しては「これは日本のどこかで起こってる話。僕には何の問題もない。だけど自分にもいつ起こるか分かんないから怖いな。」程度の認識しか出来ていなかったことを記憶している。
- 当時の僕はそのことよりも「電力不足だから」ということで話題となった「節電」を身近に感じていた。テレビを点ければ節電の話題。ショッピングモールにも節電の張り紙。家の中でも節電の話題。小学校でも節電の話題。日本人全体が「節電ブーム」に乗っかっているようだった。それから8年。今でも地球温暖化対策として節電をしようという国際的な動きはあるのだが、正直当時ほどの問題意識が我々日本人の中には無いと思う。あちらこちら電気は点けっぱなしだし、学校のエアコンの温度は設定できる最低/最高温度。僕だって例外ではなく、どうしても節電をしようと思う瞬間は昔よりも少なくなっている。
- 国連の気候行動サミットにおいて、我々と同年代の16歳の女性が、気候変動に関していつまで経っても具体的な対策を取ろうとしない大人たちに対して怒りをぶつけたスピーチは記憶に新しいと思う。このスピーチは国家レベルの対策に関する問題提起であったが、国家レベルの問題となるとどうしても我々一般学生には手を付けづらい、身近ではないものになってしまうと感じた。一般家庭が対策を取ったところで対策としては無意味であるとの意見もあるが、まずは意味があるかどうかではなく各個人がこの問題に対する問題意識を持つことが大切であると思う。そこで僕が目をつけたのがSDGsの13つ目のゴール「気候変動に具体的な対策を」である。
CoolerSaver
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使用したもの/サービス:MESH・Afinia H400+・ABS樹脂・AfiniaStudio・TinkerCad
参考:http://www.shouene-kaden2.net/know/energy.html
参考:http://www.shouene-kaden2.net/know/energy.html
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- 高校生が個人レベルで対策がとれる気候変動対策といえば、先ほども挙げた節電が定番であろう。そしてその中でも、エアコンの設定温度の調整をすることは大幅な節電につながる。電気代も安くなるし、もしかしたら環境問題の解決に少しは繋がるかもしれない。勿論、それで熱中症になってしまうようでは無意味であるから、適度な温度に調整をした方が良い。それをアシストする、そんなプロダクトの制作を目指すことにした。そこで思いついたのが、冷房や暖房の設定温度を管理してくれるプロダクト「CoolerSaver」だ。
- 冷房や暖房の設定温度の管理と言っても、その方法は多岐にわたる。室温に合わせて自動で変更するのか、若しくはお知らせしてくれるのか、はたまた、自動で電源をオフにするのか。僕はそれらの中でも「冷やしすぎや暖めすぎを知らせてくれるもの」をつくることにした。制作には、利用の簡単さやなどを考慮しSONYのMESHを利用することにした。
- 3Dプリンタでの印刷は時間もコストも掛かるので、まずはきちんと動くのかどうかをタグだけの状態で試してみた。
- まず、暖房が掛かった室内。冬場モードにして放置していると……LINEに「エアコンの温度高くしすぎ!注意して!」とのメッセージが。無事成功。
- 次に、冷房が掛かった室内……と言いたいところなんですが、この時期に冷房を付けている部屋など、学校でも無く……。外に持っていけばいいのだが、面倒だったので……一瞬冷凍庫に入れてみた。すると……無事メッセージが届き、成功。
- 実際に印刷台から外した後、サポート材を取らずにそのままMESHを入れてみたところ、まさかのぴったりサイズ。積層が上手くいくために付けたサポート材だったが、奥行きを少し余分につくったこともあり、付けたままの状態の方がサイズもぴったりでカッコよかったのでこのまま使用することに。
- 試用した時と同様に成功。ケースを利用したことによる不具合などは発生しなかった。
- 今回、この作品をつくって試してみたが、この作品で「節電」を習慣化し、広めていくことはなかなか難しいと思う。この作品の役割はあくまで点けすぎを指摘してくれるものなので、もともと節電に興味すらなければただ単に煩い装置に過ぎないのだ。正直なところ、個人レベルの取り組みから多くの人々の意識を変えていくことの難易度はかなり高い。しかしながら、家庭内の電力消費によるCO2排出は年々増え続けているのもまた現状なのだ。家庭でのCO2排出を減らす努力をすることが出来るのは各個人だけであるから、最終的には各個人が普段から気にかけて行動していくことは必須となる。となると、この問題はどうしたら解決できるのだろうか。
- 昔より電力消費をせざるを得ない時代に差し掛かっているのもまた事実であり、自分が普段何気なくYouTubeを見ているうちにも、はたまた現在こうやってこの記事を書いているうちにも電力を消費している。僕は、こういったような時代に沿った変化について一石を投じようとは思わない。しかし、そんな現在だからこそ一人一人の意識によって少しづつでも「無駄」を減らしていくことが大切だと僕は思う。そして、その意識を拡大させていくことが難しいのであれば、まずは気が付いた個人からだけでも意識していけばそれだけでいいと思う。「どうせ自分一人が気を付けても変わらない」ではなく、「自分一人でもいいから変えていく」ということだ。
- 昨年度出品したときに「来年こそは」と意気込んでいたのに気が付けば締め切り直前に……今年度はテーマがSDGsということで、普段から学校の授業やプロジェクトで活動している内容なので案はすぐ出ると思っていたのだが、いざ取り組んでみると、なかなか案が浮かばなかった。よく考えてみると、普段取り組んでいるものは、個人単位で対策できるようなものではなかった。自分個人から出来る取り組みをあまりしてなかったということだ。まさに灯台下暗しだったのだ。僕は今回の取り組みから、より身近なSDGsというものを知ることができた。これからは、より自分個人としてもしっかり気を付けていこうと感じた。
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