とまルン

Created Date: 2026-01-11/ updated date: 2026-03-19
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        • みなさん、こんにちは。
          私たちは当初、「鎌倉のオーバーツーリズム」をテーマに活動を始め、「地域×子ども」という視点からパズル型のプロダクトを制作しました。
          しかし中間発表で、課題の切迫性や根拠の弱さを指摘され、課題設定を見直すことにしました。
          改めてリサーチを行う中で、小学1年生の交通事故死傷者数が6年生の約2.7倍であり、特に下校時の飛び出し事故が多いという深刻な実態にたどり着きます。
          試行錯誤と方向転換を重ねた結果、私たちは「親が安心して子どもを一人歩きさせたいが、どうすればいいか分からない」という課題に行き着きました。
          これまでの葛藤と、今回開発したプロダクトについてご説明します。
            • 活動初期において我々は、オーバーツーリズムを中心的なテーマとして据えていた。特に、観光地という特性を持つ鎌倉の中で生活・活動する人々と旅行者との関係性に注目しており、鎌倉市民、そして移住者といった異なる立場の人々のつながりを重要な視点として捉えていた。この段階での問題意識は、観光地としての地域のあり方や、地域内外の人々の関係性といったテーマに向けられていた。これらは社会的意義の大きい重要な視点ではあるものの、扱うスケールとしては広く、抽象度の高い課題設定であったといえる。
            • その後、チームはテーマを「地域 × 子ども」へと具体化し、広いオーバーツーリズムの枠組みから、地域で暮らす子どもたちに焦点を当てた。その中で、子どもが地域を歩く機会が少なく、土地勘や地域の重要な場所への理解が十分に育っていないという気づきが得られた。つまり、子どもと地域との体験的な接点が薄れているという問題意識である。そこで、学校を起点に地図やパズルなどのゲーム性を取り入れ、寺や公園といった地域の場所を巡りながら、楽しんで地域を知ることができるプロダクトが提案された。
            • このフェーズで検討されたのは、地域を歩きながら集めていくパズル型アイテムである。公園を中心とした地図をベースに、その一部をパズルのピースとして切り出し、寺や公園など地域内の特定の場所を巡ることでピースを集める仕組みが構想された。また、レーザーカッターで地図を加工し、デジタルではなく手で扱える物理的なピースとして制作する案も検討された。これは単に地図を見るのではなく、「地域を歩くこと」自体をゲーム化し、移動や発見の体験に価値を持たせることを目的としていた。
            • 子どもはまず学校を中心とした地図を持ち、交番や公園などのチェックポイントを訪れる。そこで対応するパズルのピースを入手し、それを地図にはめていくことで地域の姿が完成していく仕組みだ。
              つまり「歩く → 発見する → 集める」という流れの中で、自然に地域と関わり、場所への理解を深めていくことを目的としていた。
            • チームが「地域と子どもの関わり」をテーマに検討を進め、
              地域を歩きながら進めるパズル型マップの1stプロトタイプを制作した段階で、地域の居場所であるふかふかさんを訪問し、インタビューを行った。
            • インタビューから見えてきたのは、子どもが安心して過ごせる拠点は地域の中に存在しているものの、そこから地域全体へ行動が広がることは多くないという現状である。「行ってみよう」と思えるきっかけが少なく、面倒さや目的の不在が行動のハードルになっていることがうかがえた。
              さらに、「時間の感覚を身につけてほしい」「どのくらい時間がかかるか想像できるようになってほしい」といった話もあり、子どもはまだ時間や距離を基準に行動を考える力が十分ではないことも分かった。
            • 中間発表を通して、プロダクトの体験性や方向性自体は評価された一方で、課題設定がチームの仮説に寄っており根拠が弱いこと、子どもが本当に動きたくなる理由の設計が不足していること、そして「良い体験」止まりで今解決すべき社会課題としての切迫性が弱いことに気づいた。さらに、課題→原因→解決策の論理のつながりや、安全性・利用場面など現実的な設計も不十分であることが明確になった。
            • 中間発表の際にはデータを用いることなく自分たちの気づきから課題を設定したため、本当にこの課題が存在するのか、それは本質的な課題なのかというひっかかりをずっと持ったまま活動をしていた。そのため内部審査会、また最終審査会に向けてしっかりとしたリサーチを行った上で課題を設定することにした。
            • 中間発表でふかふかさんとの縁を頂いたことや、実際に子供と接する楽しさを強く感じたことから、対象を子供とすることは変えないことにした。また中間発表までの安心安全というコンセプトは変えずに課題の再設定を行い、様々なリサーチを経て、安心安全な鎌倉を作るのには子供の交通安全が守られていることが必要であることに気づき、そこにフォーカスしたプロダクトを作成することにした。
            • 一口に交通安全を守るといっても、世代ごとに起こりやすい交通事故の種類が違ったり、事故が起こるシチュエーションが場所によって違ったりすることから、様々な切り口で考えることができる。そんな中で、小学生の子供がどのような交通事故に遭っているのか、どのような原因で交通事故が起きているのかなどについてリサーチを行った。
            • 2ndプロトタイプは、走行開始時の加速度を検知し、音と振動によって子供に「走っている」ことを直感的に伝える設計となっている。また、加速度の感じ方や適切な閾値は年齢によって異なるため、個々の子供に合わせて調整可能な仕組みを備えている。
            • 2ndプロトタイプ完成後、Fab Questでお世話になっている古川さんのお子様「あおくん」を対象に、近くの交差点で実証を行った。走行時に加速度を検知して音や振動が発生する機能は確認できた一方で、子どもはそれらをおもちゃのように楽しんでしまい、本来の目的とは異なる反応が見られた。この点については今後の改善が必要だと感じた。
            • 実証の結果を踏まえ、今後のターゲットは「あおくん」に設定した。年齢が適していることに加え、実証を通じて信頼関係が築けた点、そして親しみやすさも大きな理由である。得られた改善点を整理した上で、今後はプロダクトの設計や外装のブラッシュアップに注力していく方針となった。
            • 3rdプロトタイプでは、2ndから大きく改良し、M5StackとGPSを活用したより高度な設計へと進化させた。GPSにより位置情報を取得し、危険地点から5m以内に接近した際に検知できるようにしたほか、加速度センサーで走る・歩く・止まるといった動作も引き続き判別する。また、これらのデータをSDカードに保存し、親子で振り返りができる仕組みを取り入れた。
            • 最終プロダクトを用いて、ふかふかさんで再度実証を行った。その中で、一人歩きは基本的にさせず外出には許可が必要であることや、集団行動では年上の子が先導するなど、安全を重視した運用がなされていることを学んだ。また、指示ではなく理解や思いを伝えることが行動変容につながる点も重要であり、「猫ちゃんを守ってあげてね」といった伝え方の重要性も確認できた。これらは今後に活かすべき大きな気づきとなった。
            • その後、古川さん宅にて約1週間、あおくんに通学時にプロダクトを使用してもらった。使用を続ける中で徐々に車への注意意識が高まり、「猫ちゃんを守ってあげてね」といった伝え方も効果的に機能した。叱るのではなく、自分よりも弱い存在(今回のプロダクト:猫ちゃん)を守る行動へとつながった点が特徴的であった。また保護者の古川さんからも、怒らなくて良くなり安心感が増したことや、不安は残りつつも手を離して一緒に歩けるようになったことへの感謝の声が得られた。
            • microPythonで以下の内容のプログラミングを実施。 
              • GPSで今いる場所を読む 
              • 加速度センサーで「止まる・歩く・走る」を判定する 
              • 決めてある地点のどれかの5m以内に入ったかを調べる 
              • 入ったら音声とバイブで知らせる 
              • GPSと加速度のデータをSDカードに記録する 
              • Wi-Fiにつなぐ 
              • Aボタンを押すとIFTTTへ通信する
            • 外装は、年齢の低い子どもが使用することを想定し、柔らかく親しみやすい雰囲気を意識して制作しました。デザインは、カバンにつけるぬいぐるみを参考にし、対象であるあおくんが最近気に入っている猫のぬいぐるみをインスピレーションにしました。 外装は自分一人で担当し、まず内部の硬いM5デバイスを保護するための取り外し可能な3Dプリント外装を制作しました。1回目はサポート不足で失敗しましたが、2回目のプリントで成功しました。その後、ソフトボアという柔らかい素材を用いて三毛猫の配色や手、目などの細かな部分を制作しました。最後に、バッグに取り付けられるようストラップとカラビナを付けて完成させた。
          • 今後は、家族団らんのきっかけとなる機能を追加し、親子での振り返りやコミュニケーションをより深められるプロダクトへと発展させていきたい。また、親が安心して子どもを一人で外出させられる環境づくりにも貢献したいと考えている。車よりも早く成長していく子どもたちを見守り、安全に導く存在となることを目指していく。
            • 本プロジェクトの実施にあたり、多くの方々にご協力をいただきました。この場を借りて、心より感謝申し上げます。 古川家の皆様(古川さん、奥様、あおくん)には、実証実験へのご協力と貴重なご意見をいただきました。また、ふかふかさんの皆様には、現場での実証機会の提供と多くの学びを与えていただきました。さらに、Fab Questのサポーターの皆様には、プロジェクト全体を通じて多大なるご支援とご助言を賜りました。 皆様のご協力なしには、本プロジェクトの実現はありませんでした。改めて深く御礼申し上げます。
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