戦うジョイスティックと守る傘

Created Date: 2021-01-11/ updated date: 2021-06-01
Owner & Collaborators
License
Summary
Warrior Joystick and Guardian umbrella project
ニードノウア
 一宮剛(電動車いすプレイヤー)
メンバー
 賀下耀介(理学療法士)
 新谷裕之(作業療法士)
 湯浅健壮(プロダクトデザイン学科専門学生)
運営サポーター
 木村朋道

Materials

    Tools

      Blueprints

        Making

        • 一宮さんは脳性麻痺をお持ちで、25歳ぐらいから強い腰痛のため電動車いすでの生活になりましたが、
          27歳の時に車いすテニスに出会い、
          『日本初の電動車いすテニスプレーヤー』になりました。

          54歳の時にインフルエンザをきっかけに頸髄症と頚椎症になり、日常生活でも時に介助が必要ですが、
          車いすテニスは続けられています。

          今回のメイカソンは
          ①車いすを動かす際に少ない力でも
           動かせるジョイスティックの形
          ②雨天時で傘を使用する際、安定して傘を持てる持ち手
          というニードで参加しています。
          • 今回の一宮さんからの要望は、
            ジョイスティックを持ちやすくしてコントロールしやすくしたい」と
            「傘を差した状態を保つことが難しいため、傘の持ち手の部分を工夫して持ちやすくしたい」でした。

            • ・テニスのプレー中ラケットを振る際、
                  ジョイスティックから左手が外れてしまう
              ・今までのジョイスティックが小さい滑る
            • ・ラケットを振った後、左手がジョイスティックから外れないので
                  車椅子の操作が素早くできる。
              (一宮さんの経験より :スポンジの球体スティックやテニスボール大がフィーリングとしてはとても良い)
            • ・一般の傘の持ち手は下先端に取り付けられているので、適度な角度に保つには力がいる。
              ・しかし一宮さんは握力が低下しているため、長時間傘をさすことが難しい。
            • ・持つ力の負担を軽減すれば、筋肉の痛みや張りが軽減され体が楽になり、雨の日も濡れることが少なくなる
          • ①ジョイスティック:いかに手元が離れずに握りやすくできるか。
             (テニスプレー中のパフォーマンスを落とさずに)
            ②傘の持ち手:いかに持ちやすい傘になるか。

            各種の課題を整理した。
            • 賀下さん作
              既存のジョイスティックの上からかぶせる形
              大きいので、操作移動量が少ないかもしれない

              新谷さん作
              指が離れないように、凹凸型の指の差込口がある。
            • 木村さん作
                支える部分が手首だけでなく腕全体であり、
                安定するかもしれない。しかし傘が閉じない。
              新谷さん作
                傘を延長器具で下に伸ばし、
                膝近くの車いすの部分を支点として設置すれば
                手にかかる力の負担が減る。
              湯浅さん作
                スマホのアームスタンドのように、
                車いすの一部に取り付けて傘を好きな位置に設置。
              賀下さん作
                持ち手の部分にマジックテープのついた
                バンドを付ける。
          • 全体方針:「作って」・「試す」!

            ①ジョイスティック 
              ・木村:固定部分のブレークスルー
              ・湯浅:マウス型
              ・賀下:キノコ、その他
            ②傘の持ち手
              ・新谷
            • 既存のジョイスティック利用する
              (後日、引っ張れば取れる事がわかり緩む可能性があるのでカバー方式を採用)

              既存のジョイステックにカバーをするようにはめ
              ナット上のパーツで下部を固定
              残った部分でアイデアジョイスティックを固定していく

              サイズもピッタリでしたが
              取付の際、割れてしまったとの事
              今後の対応として
              ・出力の向きを変える
              ・素材を変える
              ・複数セットを渡す



            • 湯浅さん作
              [コンセプトと作った感想]
              ・班内ミーティングの際、「球体が使いやすい」「上からつかんでいるが、上斜めがもしかしたらよいかもしれない」と言ってたので、PCマウスに似ているなぁと思って作った。
              ・右手用に作ってしまったため、現在左手用製作中(2/6現在)

              [一宮さんの実際に使用した感想]
              ・手に収まりやすい。大きさはちょうどよい。

              ・しかし、引っ掛かりがないので手が離れてしまう
              [素材]
              PLA


            • 湯浅さん作
              [コンセプトと作った感想]
              ・前回のものに穴を加えてみた。穴があることで指がつかめると考えた。
              ・少しでも柔らかい素材にするため、PLA→TPUに変更。

              [一宮さんの実際に使用した感想]
              ・前よりは握りやすくはなったが、まだ手が離れてしまう可能性がある。
              ・握るとき、小指が人工学的に側面にあったほうが納得いく手の置き方になる。

              [素材]
              TPU スポンジ

            • 賀下 作
              ・六角形と八角形に2タイプ試作上面の直径(φ60㎜)で試作した。
              ・出力した時点でスティックタイプのコントローラーは、八角形の方がいいのかもしれないとおもった。

              [一宮さんの実際に使用した感想]
              ・上面が平らなのが気に入った。
              ・もう少し大きくてもよいかも。

              [素材]
              TPU
            • テニスプレーでの使用に向けて、
              ・テニスボール(φ65)に合わせて上面の径を修正してみる
              ・複数パターン(主に高さ)を試すよう4種類試作
               をKINOKO ver2ではアップデートを行った。
            • テニスでの使用を経て
              (最大φ65)を基準に、ミニマムなものから大きいサイズまで試作

              今後テスト
            • 新谷さん作
              [コンセプトと作った感想]
              ・市販品のものを、より持ちやすい形状へ改善すること。
              ・傘がすべって下へずり落ちることを
               防げるような構造へ改善すること。
              ・手袋でも使用できる構造へ改善すること。

              [一宮さんの実際に使用した感想](未使用)
              ・若干頑丈すぎたような気がするので、
               一宮さんに使ってもらった意見から再度調整したい。
              ・柄の部分を工夫して、
               柄を保持できる台なども追加してみたい。
            • ・一宮さんの傘の柄の形状に合わせて設計変更した。
              ・柄の太さをφ35とテニスのグリップと同じ太さとした。
              ・握力が低下しても手が柄から外れにくくするようにC型形状を採用した。
              ・使用しないときには、通常の傘のように手すりなどに引っかけられるようにした。
          • 実際に使ったときの動画[KINOKOver2]

            耐久性の課題は残したが、
            「着せ替え可能なジョイスティック」と
            「安定した傘の持ち手」を
            今回のメイカソンではつくることができた。
            • 一宮さんの感想とフィードバック

              [ポジティブ]
                 1. 前のモノと違う扱いが出来るのは結構楽しい
                   2. 応用的な動き【打ってからまっすぐ下がる】【回転しながら打つ】も練習してできるようになりたい
                     3. 反応が良くなった(軽いパワーステアリングの車に乗ったよう)

                    [ネガティブ]
                     1. 大きさで操作性がこんなに変わるのが分かった(操作して使ってみるまで分からなかった)
                     2. 操作自体は難しくなった
                     
                    フィードバック] 
                    サイズを変えていろいろ試したいと思った。
                    ①手を乗せる角度②指の配置する位置
                     ③指が引っかかる凹凸の大きさと配置場所④肘の位置
                     が大事だと分かった。

                  1. 打ち合いする中で:
                     1.一番大きい変化は動きが速くなったことで、
                       打った後に適度なポジションに戻る速度と、打ち返す球の威力が上がった。
                     2.従来と比べると肘の動きが大きくなりぎこちなさは感じる。

                1. のちの歓談で傘で濡れないようにする本質は、
                  ジョイスティックを守ることであるとメンバーは知る。

                  ジョイスティックは雨にも弱く諸刃の剣奥が深いことがわかった。
                  • ・大きくなったことで、元々指先を中心になった操作系から肘周りまで動員する操作系になった。
                      (のちのヒアリングで「筋肉痛が起こった」とのご意見からの推測)
                    ・高さと径のいずれも大きいほど細かい操作が要求される。
                    ・今後は、今回の試作を基になるべくミニマムを目指して最適なサイズを決定する。
                  • ・肘掛けの上で傘を置いて、陰の方向に向かって傘の向きを操作できるとより利便性が増すと思われる。
                    ・車椅子の肘掛けに、傘を固定する支持台を設けると、傘を手放しにして雨を(日差しを)よけることができより利便性が増すと思われる。
                2. 今回のメイカソンを通して、
                  ①一宮さんから
                  ・傘
                  ・ジョイスティック
                    を使ってみたことと、
                  ・ものづくり
                    に対する関心について、
                  ②以下メンバーの感想
                  • 楽しく参加させて頂きました。
                    みなさんの発想に驚きの連続でした。
                    自分の問題点から考え作成し実行して、また問題や改善点を見つけ作成し実行し成長していく何か良いですね。
                    ありがとうございました。
                  • とても楽しかった、に尽きます!
                    引きこもりがちな昨今、このようなイベントでいろいろな人とつながりながら
                    ものづくりができて大変有意義な時間となりました
                  • テニスチームはとても楽しく、勉強になる時間でした。色々な問題解決のアイデアがでてきたこと。又それを実現する方法、チームの結束など貴重な経験をさせていただきました。今後とも宜しくお願いいたします。
                  • 今回初めてこのようなイベントに参加しましたが、とても良い経験ができたなと思いました。
                    また、メンバーにも恵まれていたなと思いました。
                    自分の今後の制作物にも役に立てそうな知識もいくつか見つけることができたので、今後はそれを糧に製作活動をしていきたいです。
                  • 今回は裏方、チームサポートという事で参加しましたが
                    メイカソンに慣れている方々なので
                    自主的に、事前にと行動を起こして頂いたので非常に助かりました
                    今期間のでの最終成果物を一宮さんに触ってもらった瞬間
                    表情が変わったのが印象的でした
                    将来はニードノアの自宅などに3Dプリンターを置き
                    データをその場で出すという流れにしてみたいですね

                3. 1分でざっくりわかる!
                  一宮さんとニード
                             製作:湯浅
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