約束ではなく指マモル 缶詰固定具 ユビキラズ

Created Date: 2024-09-01/ updated date: 2024-09-01
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    Summary
    力の弱い方、缶を開ける時に怪我しやすい子供たちが対象です。
    缶詰を安全に開けられるように、上から押さえられる固定具を作成しました。
    今まで缶詰を開けやすくするオープナーはたくさんデータがある状態です。
    しかし、缶詰自身を押さえる道具はありませんでした。
    そこで、安定しやすい上方向から押さえられる固定具を今回作成しました。

    Materials

      Tools

        Blueprints

          Making

          • 私は大学生の頃から一人暮らしを始めました。
            毎日自炊していたのですが、ツナ缶を開けた時に左手の親指をスッパリ切ってしまいました。
            小さいころから缶詰は開けてきたのですが、指が完全に乾いている状態でないと横から押さえるのが難しいことと、等身の低い缶詰は安定しないのが不満でした。
            だからと言って上から押さえると鋭利な蓋で怪我をしてしまいます。
            今回のケガはつい自然に押さえやすい上部に指を乗せていたのが原因ですね。

            加えて、自助具として缶詰のプルタブオープナーはいっぱいありますが、缶詰そのものを抑える固定具はありませんでした。
            そこで、上から抑えても安全に開けられるような治具を作成することにしました。
            • まずは缶詰を購入し、規格を調べました。
              一般的なツナ缶は頭身が低い物、高い物があるということが分かりました。
              また、直径もメーカーによって若干差があるみたいです。
              そもそも缶詰を開けるのにはかなり力が加わるため、かなりの強度が必要なります。
              よって、破損の原因となりそうな高さ調節は考えずに、直径だけ対応できるようにしました。
              • まずは大まかな形を設計しました。
                真っ直ぐ角ばった形になっていますが、実際に指で押さえると自然に斜めになるので角度をつけました。
                この形でも良かったのですが、せっかくなら指の形にしようということで窪みをラウンドにしました。
                また、手が小さい人でも使えるよう支障が出ない程度に窪みを内側にしました。

              • モデルを薄型にしてテスト品を印刷しました。
                データ:試作品1
                使ってみると窪みが小さすぎて人差し指がギリギリ入る大きさでした。
                また、もっと奥側で押さえたくなったので、窪みの長さを延ばしました。
                力学的に手前より中心や奥側へ近い方が安定しそうだったので、そこを頭に入れておきます。

                そして、実際に缶詰を開けたのですが、途中で引っ掛かってしまいました。
                この時点ではリングの大きさだけに問題があると感じていたので少しだけ広げることにしました。

                とある問題が判明して途中で印刷を終了していますが、指の感じを確かめるだけなので問題ありません。
                データ:試作品2
                これでも指の窪みは小さかったのでもう少し広げます。
              • 先程の印刷を途中で終了した問題というのは、表と裏どちらから印刷するかというものです。
                簡単に印刷できるようにサポート材は不要な形で設計したいと考えていました。

                1枚目のように表から印刷すると指の形はキレイになりますが、二重リングの印刷が不可能になります。
                それはリングを空中で印刷しなければならないからです。(2枚目から3枚目)
                階段状のものを空中で印刷することは可能ですが、急に平行方向へ印刷することはできません。
                なので、このモデルは裏にして指部分を階段状に空中で印刷する形になります。


              • 印刷して使ってみたのですが、さらに奥の方で押さえたいと感じました。
                窪みは余ってもそこまで問題にならないことが分かったので少し伸ばしました。

                また、角ばっている部分が触れて結構痛かったです。
                なので
                ・指の窪みの延長
                ・窪みの角度調整
                ・丸みを帯びた形にする

                この3つを次に修正することにします。
                ただ、あまりラウンドにしすぎると印刷の際にサポート材が必要になってくるので、そこは調整しました。
                強度面は心配なさそうです。
                データ:試作品3
              • ほぼ完成したのですが、ここで問題が発生しました。
                指の窪み部分が丸すぎてスパゲッティ状になってしまいました。
                データ:試作品4
                空中で階段状に積層していくのですが、半円の角度が緩すぎると重なる部分がなくなってしまいます。
                そこで、触っても痛くならない程度に角度を調整した指だけのテスト品を作成し、問題ないことを確認しました。
                データ:試作品5
              • ほぼ完成したので、最終確認として缶を開けてみました。
                その結果、リングの大きさを広げたにも関わらず引っかかることに…
                データ:試作品6

                原因は直径部分が奥側へズレていくのが問題みたいです。
                缶を開けるということは蓋が斜め上に移動していきます。
                真上ではありません。
                なので、蓋の直径部分がリングの奥側3分の1辺りとかなり奥までまで触れることになります。
                このことを考慮して楕円状にし、縁を軽く丸めることにしました。

              • こだわった点としては
                ・缶詰の蓋がスムーズに通るような穴
                ・乗せる指の角度に合わせた窪み
                ・手が傷つかないように丸みを付けた形状
                ・サポート材不要
                となります。

                最後に注意点として、この固定具は裏から印刷しなければいけません。
                データは裏になるように保存しましたが、スライスソフトでなぜか表面に出力される場合があります。
                その場合がY軸方向に180度回転させて表面に窪みも何もない状態で印刷してください。
                データ:完成品
            • 今までは缶詰を開けられる治具で止まっていましたが、缶自体も固定できる治具として公開しました。
              この治具によって、怪我の防止や力が弱い方でも安定した開封を可能にします。

              また、最近は災害時の非常食として缶詰の需要が高まっています。
              実際に被災して缶詰を開けざるを得ない状況になることも少なくありません。
              確実に、安全に開けられるツールとして活躍すると考えています。
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              References

                Usages

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