珈琲焙煎機の開発

Created Date: 2022-08-13/ updated date: 2022-12-10
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    珈琲の焙煎機に興味を持ち、自作してみることにしました。2022年9月3日‐4日に東京ビッグサイトで開催されるMakerFaireTokyo2022にて、ファブラボ関内のブースに出展する予定(ただし、会場は下記厳禁なので焙煎の実演はできません)です。

    Materials

      Tools

        Blueprints

          Making

          • 珈琲焙煎とは、珈琲の生豆を加熱して水分を減らして炒ることで、珈琲の香ばしさや苦味などをもたせることです。焙煎加減に応じて、浅煎り→中煎り→中深煎り→深煎りなど、同じ生豆でも異なる風味を楽しむことができます。業務用には一度に数kgの焙煎ができる大型の焙煎機がさまざまありますが、ここでは一度に250g程度の生豆を焙煎できる焙煎機を開発することにしました。
            • 珈琲焙煎機に開発において中心部となるのは、生豆を回転させるための回転ドラムです。この部分を板金加工で一枚の板から製作するのは難しいため、ステンレス製の煮ざるや皿を組み合わせて、ねじ締結をしてこのような形状にしました。一方の端部は珈琲豆の出し入れができるように穴をあけておき、もう一方の端部は電気モータを回転させる軸を取り付けます。
              • 回転ドラムの内部に入れた生豆をよく攪拌できるように、L字型のかくはん羽根を3枚固定します。
              • 歯車を軸に固定するときには、空回りしないように、タップでねじを切り、止めねじで固定します。
            • L字アングル鋼などを使用して、各部分の直角をきちんと測定しながら、ねじ止めをして焙煎機のフレームを製作します。外部に薄板を取り付けるのは、内部の熱を逃がさないようにするためです。
              • 回転軸を滑らかに回転させるため、ベアリングを取り付けます。
              • 電気モータに近い回転軸にもベアリングを取り付けます。
            • 電気モータを取り付けて、回転ドラムを1秒間に1回転できるようにします。中間スイッチなどを取り付けて、操作しやすいようにします。(後に別の電源ボックスにしました。)
              • 焙煎中の熱が外部にでないように、金属板を曲げ加工して焙煎機にカバーを取り付けて、開閉するための取っ手も取り付けます。
                • 焙煎機は市販のガス式のカセットコンロを使用します。珈琲焙煎において、加熱はとても重要になります。ここでは、ガスコンロの上部にスリットが入った鉄板を敷き、回転ドラムを均一に加熱できるようにします。
                  • 回転ドラムと鉄板はできるだけ近づけて、熱が伝わりやすくします。スリット板のはたらきで、ガスの炎が直接回転ドラムに入ることが少なくなります。
                • ここまでできたら、いよいよ焙煎開始です。焙煎途中の温度を把握するため、回転ドラム内に熱電対を差し込んでおきます。
                  • 回転ドラム内の生豆がかくはんされる音を立てながら、生豆の水分が抜けて、少しずつ香ばしいかおりがしてきます。またこのとき生豆の薄皮が焦げてはがれていきます。
                • 240gの生豆は水分が減少して、薄皮がはがれるなどするため、焙煎後は約200gになります。
                  • 焙煎が進んで8~10分で温度が190℃程度にあり、豆がパチパチと音をたて始めます。焙煎途中の豆はテイスティングスプーンで把握します。
                    • 1ハゼが終わると約2分で210℃から220℃となり、ここでの豆の状態はミディアムローストの中煎りとなります。そしてこの付近で再度豆がはじける2ハゼがきます。2ハゼがはじまる直前で煎り止めしたものをハイローストやシテイロースト、2ハゼが終わった直後で煎り止めしたものをフルシテイの中深煎り、2ハゼが終わった後も煎り続けたものをフレンチローストの深煎りといいます。中深煎りくらいから豆に艶が出て黒光りしてきます。2ハゼ後は数秒刻みで豆の状態が変化するため、火力を弱めて、カバーを外して作業を進めて行きます。

                      • 焙煎を止めることを煎り止めといいます。ガスコンロと電気モータを停止させても、回転ドラムは高温であるため、皮手袋をしてやけどに注意しながら、ざるに豆を取り出すとともに、素早く冷却機に送ります。
                        • 加熱を止めても焙煎豆の内部は高温のままであり、このまま常温にさらすと内部の焼きが進んでしまうため、素早く冷却する必要があります。ドライヤーの冷風でもできるとのことでしたが、もう少し風量がほしかたため、送風機を購入して、フレームを取り付けて立つようにしました。また、このとき珈琲豆の薄皮のチャフが飛ぶため、送風機の下部には網を取り付けました。煎り止めをした珈琲豆はすばやくこの上に置き、1分程度熱を冷まします。
                          • こちらは中煎りで焙煎した珈琲豆です。珈琲豆の色にムラがないことから、均一に加熱されていることがわかります。
                            • 自分で焙煎した珈琲はもちろん美味しいです。焙煎直後の豆に熱湯を注ぐと、粉の部分が盛り上がってきて内部のガスが抜ける様子が観察できます。焙煎直後よりも数日置いたほうが美味しいと言われることもありますが、焙煎後は1週間以内くらいで飲むとよいでしょう。それ以上置くと、香りや味が落ちてきます。
                              • 珈琲の抽出には、このような先が細いポットに熱湯を入れて、円を描くようにして少しずつやさしく注ぎます。ウエーブのあるペーパーとドリッパーを使うと、空気が上手く抜けてスムーズに抽出ができます。
                                • 目標通り、MakeFaireTokyo2022に2日間出展して、多くの方に焙煎機をご覧いただき、貴重なアドバイスや感想などをいただきました。今後の改良に生かしていきたいと思います。

                                  当日の様子はこちらのnoteにも記事にしました。
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