関節リウマチにより、手指の痛みや変形によってメイクがしにくくなってしまった方を対象とする。
アイブロウパレットオープナー(筆の延長機能付き)
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- 関節リウマチは30~50歳代の女性に好発する。この年代の女性は、身だしなみとしてだけでなく、自分の気分を上げるためなど多様な理由でメイクをする方が多い。今回、このコンテストを紹介いただいた方の知り合いに関節リウマチの方がおり、メイクの際にパレットを開けることや細く短いためブラシの使用が難しいとの話を聞いた。様々な考え方や好みはあるが、最低限のメイクはと問われたときに「眉毛」「口紅」と答える方が多いように思う。そこで、パレットやブラシを使用する頻度の高い「眉毛のメイク」に着目することにした。
- ひとくちに「眉毛用のパレット」「眉毛用のブラシ」といっても各化粧品メーカーや百円ショップに至るまで様々なものがある。そこでまずはどの商品を対象とするかを決めた。基準は、比較的安価で手に入りやすいものとして考えた。今回はCANMAKE TOKYOの『Mix Eyebrow』とドラッグストアにある『眉毛用ブラシ』を対象とした。
- 関節リウマチに特徴的な変形には、示指から小指までの尺側変形、母指のZ字変形などがある。リハビリ時にはなるべく指先ではなく、手のひらを使うようにと動作指導を行う。これらを踏まえて、指先ではなく、手のひらを使用しやすいように平らな面を多く作った。添付画像の下部分はアイブロウパレットを開けるために蝶番に装着する部分を作成した。
- 実際に関節リウマチの方に模擬的に使用していただいた。アイブロウパレットに装着はでき、開けることは可能だがうまくいかない確率が高いこと、手指の変形が強いこともあり、自助具を持ちにくいこと、尖っている部分が多いため持つ際に少し痛いこと等のご意見をいただいた。
- いただいたご意見を元にデザインの修正を行った。角をなるべくなくすこととアイブロウパレットとの接地を良くするが外れにくくないようにすることを意識した。画像は修正後のデザイン三角錐ではなく、円錐型を意識し、底面には小さな引っ掛かりをデザインした。
- 円錐型タイプの自助具は三角錐型のものと比較して手の中での納まりも良く、追加した出っ張りにより、アイブロウパレットとの接地が改善されパレットの蓋の開く確率が上がった。また、アイブロウパレットに付属している、健常者でも短く小さいと感じる筆も差し込み部分を調整したことで延長して使用できるようになった。
- 今回対象とした関節リウマチの好発年齢の方々は所謂『働き盛り』の世代といえる。出かける前の忙しい支度の時間に、関節リウマチによる手指の変形でパレットがなかなか開かない焦燥感の改善や、関節可動域の制限による短い筆の使用を少しでも楽にできると考える。また、関節リウマチの患者さんだけでなく、加齢により小さなパレットが開けにくい方や、健常者でもブラシを立てて置いておきたい方にも使用していただけると考える。
- 今回は一つのメーカーのアイブロウパレットに絞って自助具の作成を行った。比較的多く流通している形状のものを選択したが、今回の自助具では対応できないものも多く存在する。他の形のメイク道具にも対応できるものを作成することで、手指の変形が原因で時間の制限等で不快感を感じている方にはその改善を、メイク道具の選定基準に使えるものという制限がついてしまった方には楽しみを再実感してもらうことも可能になると考える。最後にはなりましたが今回、作成した自助具を試してくださった当事者様、このコンテストを紹介してくださった先生、3Dプリンターを使わせてくださった先生、快く協力していただき、本当にありがとうございました。
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