介護、医療ベッド用 小物入れ&杖ホルダー

Created Date: 2023-08-19/ updated date: 2023-09-17
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Summary
3Dプリンターで製作する、介護用や病院、施設のベッドに設置する、小物入れと杖ホルダーです。
多くのベッド柵に2本のバーがあることから、上下のバーの径とその間隔を指定することで多くの製品にしっかり固定が出来ます。小物入れはTVリモコンを入れる想定としていますがサイズ変更が自由なのは3Dプリンターならではです。なお、杖ホルダー部分は柔軟性のあるTPUで製作しています。

Materials

    Tools

      Blueprints

        Making


          • 超高齢化社会の日本では、要支援、要介護の方が急増しています。
            このプロダクトは自宅、病院、介護施設等で生活され、生活に杖を要する高齢者の方を主な利用層として想定しています。
            また、軽度の視力低下や下肢の手術後の方等、転倒リスクが高い方にも有用だと考えています。

          • 超高齢化社会の日本においては要支援、要介護の方が増加しており、その生活に多くの医療用、介護用ベッドが使用されています。こうしたベッドはリクライニングが出来ますが、物を置く場所がないことも多いです。

            小物入れ、とくに使用機会の多いテレビのリモコンやスマートホンを置く場所がなかったり、杖を利用されている方も置き場がなく、柵や近くの棚に引っ掛けてあったりします。

            認知機能や視力の低下がある場合は特に、物の定位置が定まることは非常に重要です。取りやすい位置、動きにくい定位置から外れると認識しずらくなります。
          • 必要なものを取りたいとき、少しの移動でも身体機能や歩行機能が低下した方にとっては面倒な作業です。

            利用機会の多いテレビのリモコンやスマートホン。
            • 手が届かないから体を乗り出して・・・
            • ベッドから滑り落ちたけど何とか床に手が届きそう・・・

            普段使う杖。
            • 見当たらないけど数歩ならなくても大丈夫・・・
            • 倒れてしまったから、取らないと・・・

            転落リスクは様々ですが、こうしたよく使うものを安定して定位置に置くことで防げる事故があるはずです。
          • 小物や杖を置こうとした場合、置き場所として最適なのは柵への固定です。
            転倒防止柵は首などが挟まらないよう、通常横方向と縦方向にいくつかのバーが設置され、ベッドに差し込む形で固定されます。加重にも耐えられ物を置くには最適です。

            一方で柵の形状、バーの太さ、その間隔はメーカー各社で異なっており統一されていません。このため一般的に入手できる商品は上から引っ掛けるものや、紐を利用した軟性のものが多く安定性に欠けます。
            想定外の使用方法は他のリスクを増加させる可能性もありますし、またベッドはレンタル品であることも多く、改造手段も限られます。
          • 金型では個別に対応するのは困難ですが、3Dプリンターであれば比較的簡便にカスタマイズが行えます。
            上下2本のバーの直径とその間隔の数値を変更するだけで対応が出来ますし、素材を変えれば杖置き場もセットに出来ると考えました。
            色も使用者の好みや認知機能、視力に応じて目立つようにわかりやすく変えられる、ということで製作したのが今回のプロダクトとなります。

            生活便利にする品という点で本コンテストの趣旨に合致していると考え応募させていただきます。シンプルが故の汎用性の高さと低コスト、安全性が特徴です。よろしくお願いします。

          • 下記をコンセプトとして製作しました。

            • 汎用性 規格が異なる柵に対応可能(寸法調整が容易)
            • 安全性 固定と両立して無理な力がかかった際に外れる設計
            • 低コスト 樹脂の使用量が最小限になるシンプルな形状
            • 造形の容易性 3Dプリンターで作りやすい形状、最小限のサポート
            • 耐久性 上記を加味したうえで長持ちするよう、積層割れしにくい造形方向を意識
          • CADソフトを使用し、利用者に計測してもらう2本のバーの太さとその間隔を元に固定部分を確定します(図1)。

            はめ込む下側のバーによっては挟み込むためのオフセットを変更する必要がありますが、形状変更が容易なのはヒストリー型3D CADの利点です。無理な力が内側からかかると固定が外れる設計にしました。

            小物入れのサイズも記載しおおよその形が出来たら、別パーツの杖置き部分も制作(図2)。

            柱の形状によりますが本体部分と固定部分が重なるよう角度調整し、細部を整えて設計は終了です(図3.4)。
            Simple is the best!
          • シンプルな設計により、造形がしやすく、最小限の時間で造形が可能です。結果としてコストの低減にもつながります。

            本体は横に寝かせて造形します。サポートレスでの造形も可能な形状ですが、中央部に最小限のサポートを配置することで天井の崩れをより防ぐことが出来ます。(図5,6)。設置向きに応じて左右を反転します。

            また、杖置き部分は壁やインフィルを少なめにして柔軟性が保てるよう壁を薄くします。上下対称なので造形方向を変更する必要はありません。(図7,8)

            想定する素材は本体がABS、杖置きがTPUです。この形状ですと、造形は非常にしやすいと思います。
          • 写真は接着後ですが、接着は100均で購入できるセメダインを使用しました。

            造形後はサポートを設定した場合は除去します。多少内部に残ったとしても使い勝手をスポイルしません。サポートがない場合は一部天井が崩れる可能性があると思いますが、これも実用上問題になることは無いと考えています。

            サポート部分は外面にはあとを残さないため意匠も良好です。
          • 本品は設計には難の癖もなく形状も単純で、また利用環境に応じて設計変更が容易なのがアピールポイントです。
            STL単体だとあまり利用価値がないのが残念なところですが、STLを添付させていただきます。
            ※これは上部バー25mm、下部バー20mm、バーの間隔が50mmの設計です。



          • 杖は転倒予防に有用ですが、特に認知機能の低下がある方においては見える位置にないと利用してくれないケースも多いです。

            数歩なら杖がなくても大丈夫だろう、もう少し手を伸ばせば床の杖に届くだろう・・。こういったことから転倒転落事故は発生し、時にその後の人生を左右します。本品の使用でその件数が1件でも減らせれば、この商品のアウトカムは達成されると考えます。
          • よく使うものを定位置に安定して置ける本品により、利用者は使用頻度の高い小物類を定位置に置くことが出来ます。

            頭元に置いたスマホがリクライニングを上げたら滑って落ちた。ベッドの隙間にリモコンが落ちた。
            さっきまであったのにどこ行ったかな・・・?

            ちょっとしたストレスにつながるこの事象も、本品の使用で軽減できるのではないでしょうか?

            最期までお読みいただきありがとうございました!
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        References

          Usages

          • 設置、利用方法

            具体的な使用例です。上部バーにベッド柵に引っ掛け、側面を下部のバーに押し付けるとはまり込んで固定されます。無理な力が内側からかかると固定が外れるため手や足が挟まった際も安心です。

            杖ホルダーは緩めになっていますが、開口部を小さめにしてあるので容易には倒れません。ある程度遊びがあったほうがベッド昇降の際にもむしろ安定している印象です。杖のサイズは個人差がかなりあり、このサイズとしました。

            また、小物入れは今回はリモコンホルダーですが、サイズを変えればスマホやタブレット等3Dプリンター造形可能サイズ範囲内で製作可能です。

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