百発百中(Hyappatsu Hyakuchū)

Created Date: 2025-09-01/ updated date: 2025-09-01
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    Summary
    For Whom:パーキンソン病などで手が不自由な方の為に現在利用者さんが持っている市販の呼び出しベルのスイッチを押せるように自助具を考案しました。
    画像は順に、足でも押せるタイプ。標準タイプ。お風呂でも使えるタイプ。標準的なものの大判タイプ、計4種類の百発百中を今回製作しました。
    スイッチは市販品ベルの付属品を使用します。PLA樹脂を使い3Dプリンタで造形します。スイッチは弾性のある両面テープで貼り付けます。
    注意:念の為、自助具のエッジ部はサンドペーパー等で鋭角除去をし利用者さんが怪我をしないように配慮します。

    Materials

      Tools

        Blueprints

          Making

          • Why:パーキンソン病で手が不自由な方がいて、以前は押す事が出来た利用者さんが持っている既製品のスイッチを流用し再び押せるスイッチに出来ないか?相談がありました。
            イメージソースは→ウエットティッシュBOXにスイッチを挟む感じ。

            訪問看護の現場ではスイッチを押させてあげたいけど・・歯がゆい時もあるでしょう。
            毎日クタクタになって帰宅する妻の手助けになるなら、やらまいか。

            利用者さんの喜ぶ笑顔、訪問に携わっている人の笑顔を想像しながら自分が出来る事を全力で発揮しようと思いました。
            妻が現場で撮った市販品のスイッチの写真一枚を手掛かりに・・・イメージを形に!
            • 設計方針:拘りは利用者さんの愛用していたスイッチを使う事です。
              1、第一に安全でなければならない。利用者さんに絶対怪我をさせない事。ネジ等の金属は使用しない設計とする。
              2、3Dデータを活用しCAE構造解析を行い設計品質を担保する。また実物検証も行い信頼性の高い自助具を開発する。(設計パラメータの明確化と定量的データを収集しノウハウを蓄積、今後の自助具製作時に更なる信頼性と製作スピードUPを実現する。)
              3、自助具の設置は短時間で出来るよう調整レスの設計とする。(利用者さん宅に設置に行ってスイッチとのフィッティングが悪くて自助具を持ち帰る事は避けたい。現場でTryal and Errorをさせない)



              • イメージソースをベースに自助具のCADデータを作成。
                3Dプリンタならシンプルに1部品で自助具が製作できる。
                R部が撓む板バネの特性を利用してスイッチを押す構想。
                利用者さんの自助具を押す力は機能的に最も重要なポイントだがスイッチを押す力はR部の肉厚の設定で決まる。
                CADデータは2種類の肉厚違いの物を作成して機能評価する。
              • ①CADデータを3Dプリンタに転送して自助具を造形。
                利用者さんがSWを押す力はどれくらいが良いかR部の肉厚違いの自助具をロードセルを使って測定してみる。
                妻と相談しながら最適な押し力を2.4Nと決定。
              • ②CAE構造解析を実施。PLAの最大曲げ応力に対し通常使用時に余裕がある曲げ応力であるか確認。
                結果は2.4N(①)の押し力時の曲げ応力は5.8Mpa。PLAの許容曲げ応力の想定は50Mpa。
                結果:マージン8.6倍で十分な強度を確保!曲げ応力は弾性域であり塑性変形することは無い。OK
              • うっかり自助具を足で踏んだら?
                ③CAE構造解析で許容応力を50Mpaと想定すると240Nまで耐えれる筈!?

                ※構造解析画像の緑の矢印が固定端、赤の矢印が荷重を付加した部分です。
              • 実検証で想定内の荷重でクラッシュ!
                現物を観察すると割れる事はなく、尖った箇所は発生しない。
                壊れる箇所もR部で限定的であることも確認できた。
                この場合、スイッチは押されぱなしになる。機能しなくなる事に中途半端さはない。
                結果:OKとする。
              • PLAは湿気に弱いという懸念事項から、お風呂のお湯が掛かる湯舟に2週間置き自助具に破損がないか?
                検証。破損や変形もなく意外と丈夫なのを確認した。

              • 意地悪試験(1)の結果からPLAを造形したものは通常の物性(許容曲げ応力100Mpa)の半分程度になることが分かった。
                肌感覚では感じていたが実際に試験をする事で明確になり良い勉強になった。
                自助具を万が一踏んだ時、ペッちゃんこになるだけで自助具が割れ怪我をするという可能性は低い事も確認できた。
                心配なら心配のままにしとかないで、やってみるのは大事ですね。
                やってみれば新たな発見があり次にどのようにして行けば良いのか見えてきました。
                剛性も必要だが、しなやかさも必要という相反する特性に対して引き続き3Dプリンタで造形する材料を学び過剰品質にする必要は無いが更に信頼性の高い自助具を設計したいと思います。
            • 重度なパーキンソン病で手が不自由な方に自助具を提供したり、一人で入浴可能な女性の利用者さんが使用する自助具は防水カバーに入れる事で安心して入浴ができると好評を得ることができました。
              良かったね!!
              今後も各々利用者さんひとりひとりに合った一品一葉な自助具を製作して自分自身も進化していきたいと思います。

              妻と相談して、この自助具の名前は利用者さんがスイッチを押した時に必ずONする事、それは使命だという想いから百発百中と名付けました。

              利用者さんに安心した生活を送って頂ければ幸いです。

              • 市販のスイッチに防水カバーを追加した状態ですが、今までは押せたとのことですが、押せなくなってしまったのが相談内容です。
              • 市販のスイッチに自助具とスマホ用防水カバーを追加しました。
                写真は利用者さんの家のお風呂ですが、念の為、事前に耐久性を我が家のお風呂で確認しました。


            • 3種類のSTLデータUPしました。
              注意:エッジ部はサンドペーパー等で鋭角除去をし利用者さんが怪我をしないように配慮してください。
              • 今回の検証で使用した呼び出しベルの情報です。

                現在までのところ、自助具設置済みの利用者さんのスイッチはこの商品とは違うものでしたが現場で調整する事は発生しておりません。しかしながら市販品のスイッチは様々な商品が流通しております。
                今回の自助具を製作してスイッチを取り付けた時は、簡単にスイッチが入ったいり強く押さないとスイッチが入らなかったりする可能性もありますので設置者は各々の利用者さんに適した力でONするか十分な確認をしてください。
                上手くいかない場合は画像の呼び出しベルを購入する事を推奨します(PSE認証、電波法適合品)。

                以上、よろしくお願いします。


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