NB-606(車のウィンカーを用いたグルーヴの探求)

Created Date: 2018-10-12/ updated date: 2018-10-17
    Owner & Collaborators
    License
    Summary
    NB-606は車のウィンカーリレーを使った音響装置です。4つの車のウィンカーがそれぞれ独立したタイミングで明滅し、複雑なリズムを奏でます。私はこれを「グルーヴとは何か」を考える為に制作しました。 
音楽に高揚感をもたらすとされる「グルーヴ」は、感じるポイントや解釈が人によって異なり、言葉で定義することが難しい言葉です。そこで私は自分が身近に感じるグルーヴを作品として作ることにしました。

    私が身近に感じるグルーヴ、それは「車のウィンカーの明滅のズレ」です。交差点で右折を待つ車の列を見ていると、バラバラに点滅していたはずのウィンカーのタイミングが徐々にズレて一斉に点滅する瞬間が訪れ、私はその一瞬に高揚感を覚えるのです。それぞれの車は反復的に明滅しているだけなのに、それらが組み合わさると無限にも思える複雑なリズムと一瞬の高揚感が生まれる不思議。これが私の感じる「グルーヴ」です。

    あなたはどんなものにグルーヴを感じますか?

    Memo

    「魔法の言葉」をみんなで破る

    posted by oshima-takuro on October 17, 2018
    今回のテーマである「グルーヴ」は、ダンス系の音楽においてポジティヴに捉えられているが、意味の曖昧な「魔法の言葉(マジックワード)」として扱われています。
    ものづくりの世界においても「イノベーション」や「クリエイティヴ」、「コラボレーション」といった言葉が魔法の言葉として考えられるでしょう。

    こうした魔法の言葉は、ポジティヴな意味が先行して無批判に受け入れられる便利な言葉です。
    ただ、こうした魔法の言葉は人々の思考停止状態を生み出し、一体何がグルーヴなのかを考えられなくなります。
    今回の作品制作は、魔法の言葉を作品の鑑賞と議論を通して打ち破ることにあります。
    僕の感じるグルーヴは決して正しい定義ではありませんが、人々がそれぞれ感じるグルーヴを音楽以外の日常のシーンから考えて議論することで、魔法の言葉となってしまった「グルーヴ」という言葉を定義し直す作業になるでしょう。

    Comments