NB-606(車のウィンカーを用いたグルーヴの探求)

Created Date: 2018-10-12/ updated date: 2018-10-17
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    Summary
    NB-606は車のウィンカーリレーを使った音響装置です。4つの車のウィンカーがそれぞれ独立したタイミングで明滅し、複雑なリズムを奏でます。私はこれを「グルーヴとは何か」を考える為に制作しました。 
音楽に高揚感をもたらすとされる「グルーヴ」は、感じるポイントや解釈が人によって異なり、言葉で定義することが難しい言葉です。そこで私は自分が身近に感じるグルーヴを作品として作ることにしました。

    私が身近に感じるグルーヴ、それは「車のウィンカーの明滅のズレ」です。交差点で右折を待つ車の列を見ていると、バラバラに点滅していたはずのウィンカーのタイミングが徐々にズレて一斉に点滅する瞬間が訪れ、私はその一瞬に高揚感を覚えるのです。それぞれの車は反復的に明滅しているだけなのに、それらが組み合わさると無限にも思える複雑なリズムと一瞬の高揚感が生まれる不思議。これが私の感じる「グルーヴ」です。

    あなたはどんなものにグルーヴを感じますか?

    Memos

    • 自己紹介とはじめに

      posted by oshima-takuro on October 16, 2018
      はじめまして、おおしまたくろうです。僕は京都精華大学で助手として勤務する傍で、身近な道具や現象を改変した自作楽器・装置を制作する「PLAY A DAY」と称した作家活動をしています。2月23日から3月28日の約1ヶ月かけてマテリアル京都に滞在して、新しい音響装置を制作しました。

      今回の滞在制作では、
    • 3Dプリンターの積層痕を消す作業における精神性

      posted by oshima-takuro on October 17, 2018
      車のボディを3Dプリンターで成形したあとは樹脂の積層痕が目立ちます。そのためパテやサーフェイサーを塗り、紙やすりで研磨作業を行います。
      パテ埋め作業は地味な上に乾燥に時間がかかるので、最初はイライラしながら磨いていましたが、台目の積層痕を消す作業のあたりで、この作業がとても精神的な作業に感じられました。
    • ジェスモナイトの検討

      posted by oshima-takuro on October 17, 2018
      ジェスモナイトは有機溶剤のような匂いがない流し込み成形できる樹脂です。
      当初はジェスモナイトを車のボディの成形に使う予定だったので、ジェスモナイトの販売店の型に使い方をレクチャーしていただきました。
      ジェスモナイトはつの白色の無機溶剤を混ぜることで硬化が始まり、一晩で固まります。滞在先のマテリアル京都はカフェとしても経営しているため
    • タイムシーケンスの設定と「勢い・感情の時代」への抵抗

      posted by oshima-takuro on October 17, 2018
      作品のタイムシーケンスに関しては、最初は一度の体験を3分くらいに設定していましたが、マテリアル京都のスタッフの方たちに体験していただき「体験が長い」とのアドバイスをいただいたので、タイムシーケンスを2分くらいに変更しました。
      「インスタ映え」や「バズる」などの近年の勢いや感情を重視するような評価の台頭に疑問を持ち、
    • 「魔法の言葉」をみんなで破る

      posted by oshima-takuro on October 17, 2018
      今回のテーマである「グルーヴ」は、ダンス系の音楽においてポジティヴに捉えられているが、意味の曖昧な「魔法の言葉(マジックワード)」として扱われています。
      ものづくりの世界においても「イノベーション」や「クリエイティヴ」、「コラボレーション」といった言葉が魔法の言葉として考えられるでしょう。

      こうした魔法の言葉は、
    • 制作発表「Fab Meetup Kyoto vol.24」

      posted by oshima-takuro on October 17, 2018
      約ヶ月におよぶ滞在制作の成果を発表する場がマテリアル京都で定期的に開催される発表会「Fab Meetup Kyoto vol.24」でした。毎回いろんなジャンルの方が登壇されるイベントで、僕も実際に制作した作品を展示して作品のテーマや制作の苦労ポイントをプレゼンしました。

      展示
      3mほどの長さの机の上に作品を並べ、
    • グルーヴとは何だったのか

      posted by oshima-takuro on October 17, 2018
      結局、グルーヴとは何だったのだろうか。今回の滞在制作に際してわかりやすいテーマが必要だと考え「車のウィンカーを用いたグルーヴの探求」と題しましたが、探求という言葉は大抵ゴールがないので便利な言葉としてついつい使ってしまいます。なので「グルーヴとは何か」と問われたら「わからない」と答えることもできますが、