ゴミッショナル (trashional) ~トングるピック (tonglepick)~

Created Date: 2024-03-17/ updated date: 2024-03-23
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Summary
鎌倉でのポイ捨て問題に対処するため、ごみ拾いをサポートするデバイス『トングるピック』を開発しました。このデバイスは、拾ったごみの場所を追跡できる機能を備えており、街の美しさと環境保全に貢献します。さらに、ごみ拾いを続ける人々のモチベーション向上にも役立っています。私たちは鎌倉の美しい街を保つ取り組みを支援し、皆さんのご協力をお願いしています。

Materials

    Tools

      Blueprints

        Making

        • 私たちは各々自分の興味関心分野がありました。それによって、「チームで何を軸として活動していくか」がなかなか決定せずにみんなの実現したい社会ややりたいことを共有する時間となってしまっていました。そこで私たちは、「なぜ」こんな社会を実現したいのか「なぜ」実現したいと思ったのか「なぜ」こんなことがやりたいのかという、自分の中の根底にある想いをアウトプットして共有しました。そうしてみると、メンバーの中に共通してあった想いが「鎌倉の自然を大切にしたい」でした。そこからマンダラートを用いたテーマの抽出を行い、今のテーマである“ゴミ問題”が決定しました。
          • 私たちは、ゴミ問題に対処するため、初めはペットボトル分別ごみ箱を開発しましたが、鎌倉市のアプローチが「ごみを捨てさせない」ことに焦点を置いていることを知り、再考しました。その結果、ポイ捨てを減らすための施策としてトングるぴっくを開発しました。このデバイスは、データ収集を通じて美化団体や市に貢献し、政策の基盤となるデータを提供します。私たちは、データ提供と共に美化団体や市と連携し、トングるぴっくの普及を図ります。

              • 鎌倉では、ポイ捨てが深刻な問題となっています。公共のゴミ箱の不足から、観光客や市民がゴミを適切に処理する場所が限られており、結果として路上や公園にゴミが散乱し、街の美観や環境に悪影響を及ぼしています。
              • 日本全体でもポイ捨てが深刻な問題となっています。日本環境省によると、年間約50万トンのゴミが路上や公共の場所に不法投棄されています (東京ドーム約杯分以上)。これは、毎日およそ1000トンに相当し、一般家庭で発生するゴミの約1割に相当します
              • この問題は、持続可能な開発目標(SDGs)のうち、目標11である「持続可能な都市とコミュニティを作る」に関連しています。この目標は、都市におけるインフラ整備や環境保護を通じて、人々の生活を改善し、地球環境を保護することを目指しています。
              • 私たちのデバイスは、このようなポイ捨ての問題に対処するための一助となります。ごみ拾いをする際に使用するトングに搭載された追跡機能により、どの地域でどれだけの量のゴミが捨てられているかを把握し、効果的な清掃活動を行うことができます。これにより、環境への負荷を減らし、鎌倉市をより美しく、持続可能な都市にすることができます。
              • 位置情報とごみを拾った時間が記録されるシステムと連携したトングの作成。 これによってどこがポイ捨てされやすい場所なのかというのを明確にすることができ、美化団体や鎌倉市が取り組む施策に少しでも生かすことが可能となる。
              • ターゲットは、鎌倉市の美化活動を行っている団体。 本来私たちのターゲットは鎌倉市に観光に来た小学生にゴミ拾いを行ってもらおうと考えていた。なぜなら学校側はGPSがついているため迷子のリスクを負わずに済み、更に実践的な社会問題に触れるという経験をしてもらうことが出来る。社会科見学や修学旅行にはぴったりだ。小学生側も鎌倉の街並みを歩きながら見学することが出来て楽しんでゴミ拾いに励むことが出来る。しかし、私たちの本来の目的とは大幅に軸のずれが生じてしまっていたため、そこからプロダクトを見直してターゲットを鎌倉市の美化活動を行っている団体に変更した。

              • リードスイッチ (磁石センサー)と磁石をトングにつけ、リードスイッチが反応したらGPSから取得できる緯度経度、時間の情報を挿入されているSDカードにデータを保存するという機能を作った。当初、リードスイッチが反応するたびにSDカードにデータを保存することを考えていたが、その場合トングをカチカチと開閉すると、それがすべてログされてしまうので、トングを1秒以上閉じないとデータを保存しないように変更した。それによって、誤動作はある程度減らすことができた。
              • 写真(別の画像?)のように、拾った回数を画面に表示できるような機能を追加した。M5の画面より下の3つの丸のうち、一番左をタップすることで見ることができる。これは、メモリ使用量を抑えるため、M5Stackの起動時に回数が0回にリセットされ、SDカード内のデータとは同期しないようになっている。
                この回数表示によって、ごみ拾いをする人々が自分が拾った回数を可視化でき、また拾った回数に関しての会話が生まれることも考えられる。
              • 写真(別の画像?)のようにLCDに地図を表示できる機能も追加した。M5の画面より下の3つの丸のうち、一番右をタップすることで見ることができる。これは、あまり鎌倉に来たことがない場合や、初めて行く道がある場合でも、道に迷う可能性を下げることができると考えて追加した機能である。地図データにはSDカードに保存してある国土地理院の電子国土基本図のタイルマップ(鎌倉市全域分、ズームレベル16)を使用し、緯度経度の座標に合わせて描画している。
              • M5StackのLCDに直接描画してしまうと、ちらつきが発生してしまうという問題があった。それを解決するために、LovyanGFXライブラリを使ってメモリ上に仮想の描画領域であるスプライトを作り、そこで一回描画したものをLCDに表示するという方式に変えた。それによって、LCDに対する描画が少なくなるので、LCDのちらつきを抑えることに成功した。
              • GPSで受信できる時刻の値はUTC(世界標準時)であるから、UTCからJST(日本標準時)に変換する必要があった。そのうえで、日付や月、年をまたぐ場合の変換を考えなければならなかった。特に、うるう年の場合の条件設定がやや難しかった。西暦年号が100で割り切れて400で割り切れない年は平年となることを考えてUTCからJSTに変換するプログラムを書いた。
              • リードスイッチとM5Stackを接続する際に基盤が剥き出しであり、M5Stackをトングにつけると重すぎるという問題が起きた。それを対策するために、M5Stackを腰や腕に装着をし、リードスイッチを固定するケースを3Dプリンターを使用し作成した。 M5Stackを固定するケースの上面には操作するためにスペースをあけ、固定しながら操作ができるようにした。 リードスイッチは、基盤が剥き出しになるのと同時に、磁石とリードスイッチが反応する厚さで作成する必要があった。 両者を固定するためにマジックテープを駆使し、どのサイズでも固定できるようにした。

              • これを作成するにあたり、トングの挟むことが可能な範囲と3Dプリンタで作成したリードスイッチケースの厚みが邪魔をしてしまい、上手に拾ったと認識するシステムが作動しないという問題点も浮かび上がってきた。
            • 渡辺みさきさんと、市議会議員の中里さん

              #コミュニティが生み出す一体性
              • ゴミ拾い活動を継続していく内に、なぜ他人が捨てた物を拾わなければならないのかといった疑問や不平不満が生まれてくる。 そこで、コミュニティを目的としたボランティア清掃活動を行うことで、ゴミ拾いが“ついで”と化し、楽しくゴミ拾いが続けられる。
              • 風によって飛ばされるといったような屋外環境によるゴミの散らばりが見られるが、「タバコの吸い殻」といった完全に意図的なポイ捨て行為が圧倒的に多い。そこで、ダメというのではなく、あくまで助け船をだしてあげ、ナッジによるポイ捨て削減を目指している。
              • 駐車場に捨てられやすいといった位置の情報は既存するが、正確に示されたものではなく、またその数も限られているため、データをとることはポイ捨て解決における一つの良い方法であると思う。
              • ボランティア清掃活動をしつつも、活動外における日常生活で見て見ぬふりをせざるを得ないことが困りごとである。特に、マスク等の衛生が問われるものは拒否反応が起きる。 日常から気軽に拾いたい。
              • 被災者とのコミュニティ形成の一環として zoomを繋いだものの、円滑に進まなかったといった経験もあるが、可能性が広げられたことに意味がある。
              • 「捨てられ、拾う」という繰り返しにデジタルが導入されることは、ポイ捨て削減において大きな一歩となる。
              • 上位概念がある人と、そうでない人の格差は大きい。しかし、どちらの立場においてもそれぞれ違う側面が見えてくる。これらを共有し合うことが大切であると考えていることからも、ゴミがきっかけでコミュニティにつながってほしい。
              • プロダクトを実際に使用していくにあたって、いつでも使える手軽さと、身につけたくなるオシャレさが利用者のニーズとして普遍的に存在する。


              • 結果として、海岸は小さい物が多く、ロード沿いは大きなゴミが多い。そして、どちらも共通点としてタバコの吸い殻が挙げられる。清掃活動の後に全員が意見共有を行うため、回数を重ねるごとにゴミ拾い活動のモチベーションも上がっている。

            • 鎌倉ヘイセイズ 上岡 洋一郎

              # ゴミ拾いの多面的な価値
              • ゴミ拾いは仕事とボランティアの両方で行われ、人々とのコミュニティ構築が主な目的となっている。
              • 最初はイライラや嫌な面も感じられたが、人々との交流により楽しさが見出され、効率や経験値の向上、悟りのような気づきがあった
              • ゴミ拾いは自分が捨てたゴミの循環や、他者が先に行ってくれている可能性に気づくきっかけとなり、概念が変わった
              • ゴミ拾いを日常に溶け込ませ、まちの景観歩きの一環として行うことで、ニーズが多岐にわたる
              • 民や訪れる人々が気持ちよく参加し、分別袋の役割分担などでコミュニティが広がる

              • 拾ったゴミの統計やマッピングが行われ、可視化されることで達成感が高まり、モチベーションに繋がる

              • ゴミ拾いには人々とのコミュニティ構築や楽しさといったニーズが結びつき、持続可能なモチベーションが生まれている

            • 「トングるピック」の制作にあたって色々なテクノロジーの活用が不可欠でした。場所を記録する仕組みや、プロダクトのカスタムなパーツを作るには多種類のセンサーや3Dプリンターを使いました。

              「こんな物を作りたい」を現実にできるテクノロジーの素晴らしさをこのプロダクトの作成で感じることができました。また、このようなテクノロジーにアクセスできる環境にあることも凄いと感じました。


                • 鎌倉市の美化団体である鎌倉ヘイセイズさんに私たちが制作したプロダクトを使っていただき、実際に以下のデータを得ることができた。今後、試行回数を増やしていくことで、鎌倉駅周辺やその他の地域でより多くのデータを得られる。
                • 七里ガ浜ビーチ&タウンクリーンで中里さんにトングるピックを使っていただいて、画像のようなデータを得ることができた。しかし、M5Stackのループ検知機能に引っ掛かることによりデバイスが再起動され、UIの拾った回数を表示する部分がリセットされてしまうという問題が発生した。そのため、その部分を修正する必要があると感じた。
              • 「トングるピック」の今後の方針は、鎌倉市のボランティア団体との連携を強化し、テスト導入から製品の改善を行うことです。ボランティア団体との協力により、現場での実践を通じて製品の機能や使い勝手を向上させ、より効果的なゴミ収集システムを確立していきます。また、市民の意識啓発活動や環境保護に関する教育プログラムなど、継続的な取り組みを通じて、鎌倉市の美しさと持続可能性を支援していきます。

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