視覚障害があっても働きやすい職場をつくる(チーム1)
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視覚障害があっても働きやすい職場をつくる(チーム1) by FablabShinagawa, Sachiko, Km383, A-K, Koji-Yamada, Haruki is licensed under the Creative Commons - Attribution license.
Summary
2024年3月にJICAで開かれたメイカソンで、グループ1に加わった参加者5人のドキュメンテーションのサイト。メイカソンでは、視覚障害を持つ職場の同僚向けに、①エレベーターホールの階数と東西入り口を識別できるサインボードと、②非常階段利用中に現在何階にいるのかを指先で識別できる小さなステッカーの試作を決定。メイカソン開催中に作った試作品と、ニードノウアからのフィードバックを参考に、メイカソン後にデザイン改良を進め、2024年9月にJICA本部ビルへの実装を完了する見込み。
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Materials
Tools
Blueprints
Making
- E.T (女性)
- 子供の頃から弱視で、10年ほど前からほぼ全盲。
- 明るさのみ認識でき、色は認識できない。
- 視覚の経験があるため、点字はあまり読めない。
- 視覚障害に伴う日常生活の不自由さあり。
- オフィスで働く上で、エレベーター内・エレベーターホール周り、階段、オフィス内の移動、会議室の場所やゴミ捨てなどで困る場面あり。
- 3階エレベーターホール/会議室/階段のサイン
- シンプル
- 必要な情報のみ最小限に(3W, 3E等)
- 周囲のデザインとマッチする色
- 剥がれにくく、長く保つ
- 指先でタッチした時にすぐに認識できるようなサイズ
- 点字ではなく数字で作る
- エレベーターホールのサインボード出力には、ファブラボ品川から持って来られたBambu Labの3DプリンターA1 miniを主に使用した。動作の様子は下記YouTube動画を参照。
https://youtu.be/Ou_ZRoNQZOs?si=FtzbXY8zMn1GCUQN - スライサーはBambu LabのホームページからBambu Studioをダウンロードして使用した。
https://bambulab.com/ja-jp/a1-mini- エレベーターホールのサインボード出力には、ファブラボ品川から持って来られたBambu Labの3DプリンターA1 miniを主に使用した。動作の様子は下記YouTube動画を参照。
- 【方針】
- ニードノウアは、朝の通勤時は階段を使用。踊り場の手すり裏側に、何階かを識別できる突起物を作る。ただし、1階分は不要。
- 手すりは清掃作業員の人が時々拭いているため、プレートはなるべく薄く。曲面でもフィットする柔軟性ある素材が望ましい。TPUフィラメントを使用。
- ニードノウアは、点字ではなく数字の形状で数字を認識。数字シェイプで突起物を作る。なお、階数を確認する際の指の動かし方を考慮し、上下逆さにする。
【モデリング①】- Tinkercad使用。
- 点字(3mm、2mm、1.2mm)、数字(3mm、2mm、1.2mm)を用意。何枚かサンプルを出力し、ニードノウアの意見を踏まえ、数字で厚さ2mmに決定。
- 【モデリング②】
- 台座部分(20mm×10mm×0.8mm)
- スライサー:1回目試作はCuraを使用。2回目以降Prusa Slicer
【試作①】- 先に厚さ確認のために出力した「4階」分(厚さ2mm)を実際に手すり裏側に貼付し、ニードノウアに感触を訊く。結果、プレート部分(厚さ0.8mm)でも気になるとの由。
- ニードノウアの希望は薄い素材で階段手すりと同系色、目立たないものにして欲しいとのことだが、同系色のTPUフィラメントがないため、利用可能な色のフィラメントで試作を継続する。
- 【試作③-結果と考察】
- 上記の条件で全てのサインボードを出力し、ニードノウアに触ってもらった。結果として、「4」と「3」は形状に特徴があり、すぐにそれと判断できた。
- 「2」と「5」は横棒の部分の積層に乱れがあり、思ったようなきれいな横棒になっていなかったことがわかりにくさの原因であろうとのこと。
- 試作②から③にかけて、フォント自体もよりスリムで指先でも判断しやすいものにデザインを変更したが、結果としては印刷に乱れ(熱だれ)が生じ、かえって指先だけでの数字の判断が難しくなった。
- 3階エレベーターホールのサイン
・仕様:階数、東西が分かるようにする
・文字:階数は数字、東西(頭文字のEW)、
・カラー:背景の色に合わせる、E→緑、W→オレンジ
・サイズ:縦32㎜×横23.5㎜×厚さ1㎜・指先でタッチしてすぐに数字と認識できる大きさ
・QRコード:データの格納先を共有しアイディアを拡散
非常階段の手すりのサイン
・仕様:数字で作る、数字は一定の太さ・文字:手すりを握って把握するため逆さまに貼る・カラー:手すりと同系色(灰色、透明、白等)
・サイズ:2㎝×1㎝×厚み0.8㎜位
・素材:手すりに貼れるように柔軟性のあるもの- (2024年3月時点)非常階段の手すり
- (2024年3月時点)エレベーターホール(3階東)のサイン(統合版)
- (2024年3月時点)エレベーターホールのサイン(土台のみ)
- (2024年3月時点)エレベーターホール(西側)のサイン(方角イニシャルのみ)
- 試作とフィッティングを3回程度は繰り返し、ニードノウアのニーズに合う成果品として仕上げ、①ニードノウア勤務階エレベーターホールの東西サイン、②非常階段の各フロアのサイン、③勤務階の会議室のサイネージの実装を目指したい。
- 視覚障害を持つニードノウアが自分の位置を把握できないという課題の克服には、まだ、①他階のエレベーターホールへのサイネージ設置、②エレベーターの開閉・目的階ボタン、③2階の会議室の番号表示等に取り組む必要があるが、これには別途プロジェクトチームを立ち上げる必要がある。
- このメイカソンを機会に、JICAが持つリソースを活用し、主要施設のインクルーシブ化が図られることを願いたい。
- メイカソン終了後、メンバーの中には、JICAを退職した者、在外事務所に赴任した者などがおり、残るメンバーが東京・麹町のJICA本部ビルで勤務していないこともあって、実装に向けたフォローアップがなかなかできないでいた。しかし、2024年8月下旬より、一部メンバーの間で実装を進めようとの動きがあり、メイカソン時に聴取していたニードノウアのコメントをデザインに反映させ、3Dプリント出力、実装に至ったので、そのプロセスを補足報告する。なお、JICA本部ビルでの勤務者が不在で、ニードノウアとの協働が困難だったことから、リデザインと実装を先に進め、実装後にニードノウアのフィードバックをいただくことにした。
- メンバーの1人の現在の職場にあるFDMプリンター(Ultimaker3)で出力。フィラメントはPLA(白)しか利用できなかったため、出力後ラッカー塗装を行う方針とした。
- スライサーはCuraを使用。積層ピッチ0.15mm、インフィル20%、印刷スピード60mm/秒。1個当たり16g、約2時間30分。
- Ultimaker3でテスト出力を行った後、少しの微修正をTinkercad上で行い、修正済みSTLファイルを以て、別のFDMプリンター(Flashforge社のGuiderII)で全品出力に移行。
- スライサーはFlashprint。出力条件はCuraと近い数字で実行。
- ニードノウアからは、「なるべく目立たないものを」との要望があり、プレートは厚さ0.3mmにする方針だったが、出力時の積層ムラが気になったため、0.4mmにした。
- 階数を示す数字は、「3,4,6」はメイカソン時と変えない。「2,5」は積層不良があり、指のタッチだけで数字が識別できないとの指摘があったので、フォントを変え、かつ少し横幅を広げることにした。
- 数字の厚さは1.4mmとし、メイカソン時よりも若干低めた。
- 最終寸法:(プレート部分)10mm×20mm×0.4mm/ (ナンバー部分)実質厚さ1.0mm
- TPUフィラメント(グレイ、黒、ブルー)のうち、使用可能な色を用いる。
- CAD:Tinkercad
- ニードノウアに触感を比較してもらったところ、TPUフィラメントを両面テープで止めた方が使いやすいとのフィードバックがあったので、2階から6階までの非常階段の手すりに、写真のように貼り付けた。
- 【エレベーターホールのサインボード】
- サインボード本体(STLファイル)(TinkercadのURLリンク)
- 透明アクリル板(aiファイル)
- QRコードステッカー(aiファイル)
【非常階段の手すりのサイン】・手すりのサイン(STLファイル)(TinkercadのURLリンク)
References
Usages
Project comments
- The music in Sprunki Mod is not just background but also an element that creates the atmosphere, emotions and overall experience, blending with each stage of the game.
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